仕事と職種社員インタビュー

プロセスエンジニアの経験を活かし、
省エネ、生産性向上、効率化等、
製油所各設備の最適化に取り組む。

杉原 つぼみ

水島製油所 
製油技術グループ 企画チーム
2020年入社
工学研究科工業化学専攻修了

CAREER
CHANGE

前職

ソーダ会社

苛性ソーダをはじめとする化学品の素材製造におけるコストダウンや、蒸留、熱交換器、反応器等のプロセス設計をはじめ、設備不具合原因調査と工程改善検討、新規製品のプロセス検討など、プロセスエンジニアとして10年間勤務した。

現在

製油技術

製油所の省エネルギーや生産性向上、効率化などを目的とした各種設備のプロセス設計を担当。製油所全体の最適化を目指した多彩な取り組みを進めている。

新たな世界への挑戦で技術者として成長したい。
「プロセスシミュレーター」を使いこなす技術者へ。

転職を考えたのは、30代半ばに差し掛かった時期で、今後のライフプランを考えたとき、同じ仕事を続けていくのか、あるいはキャリアチェンジし新たな仕事に挑戦すべきか、大いに悩みました。そこで思ったのが、それまで培ってきたプロセスエンジニアリングの専門性をさらに高め、技術者として成長したいということ。そのためには、同じことを継続するのでなく、新たな環境が相応しいと考え転職を決意しました。
その際にも悩んだのが、同じ化学業界での転職か、他業界かということでした。そしてエージェントから示された数社の中にあった名前がENEOS。着目したのは「PRO/Ⅱシミュレーター」を採用していることです。これは、汎用性の高いプロセスシミュレーターで、単純な装置からプロセス全体まで、さまざまなプロセスをモデル化できます。このシミュレーターを使いこなすことで、プロセスエンジニアとしてスキルアップを図りたいと思いました。またエネルギーというインフラとして社会に必要不可欠な事業を展開しており、社会的使命を担っていることにも惹かれて入社を決めました。

前職で培った「単位操作」の基本原理の知見が活きる場。ボイラ発電設備の生産性・信頼性向上に取り組む。

プロセスエンジニアとして、広く設備の検討を行っています。前職は化学メーカーでしたが、プラントにおける蒸留や分離、精製等の物理的操作である「単位操作」の基本原理は同じであり、製油所プラントにおいても前職の知見がそのまま活きていることを実感しています。
入社以来、さまざまなテーマに取り組んできましたが、その一つに「コーカー装置の汚れ抑制」の検討があります。原油から各油種を分離して残った重質油を分解し、石油コークスを製造する装置がコーカー。水島製油所では石油コークスで発電した電力を事業用として販売しており、コーカーは競争力向上の一翼を担っています。
私が取り組んだのは、このコーカー内の加熱炉内チューブの汚れを抑制すること。汚れ除去のために装置を停止することは損失に直結します。汚れ抑制は設備の生産性および信頼性向上のための重要なカギを握る要素であり、その検討を進めました。近々新たな汚れ抑制の仕組みを導入する予定であり、その成果を楽しみにしています。

省エネを推進する「エネルギーネットワーク」担当として、責任の大きさの中に感じるやりがい。

現在取り組んでいる活動の一つが省エネ。熱エネルギーを利用して分離・精製を行う「蒸留」は莫大なエネルギーを消費しています。省エネ実現のためには、この熱エネルギー消費を抑制する必要があり、運転条件の見直しを進めています。ただし、熱エネルギーを抑制すると、分離・精製されるガソリンや軽油等の各留分の純度が下がる等デメリットも生じますので、運転の最適化が必要です。直近では、脱硫装置の省エネにも取り組みました。脱硫装置内の熱交換器チューブを改造し、熱交換量の向上、高効率化を実現。確かな手応えを感じた取り組みです。
こうした省エネや効率化の取り組みは、全国各製油所で展開されており、私は水島製油所の「エネルギーネットワーク」担当として、各製油所と情報共有・交換し、省エネ活動を推進しています。水島製油所は、国内最大の原油処理能力を誇ります。したがって装置・設備の規模も投下される金額も大きく、「エネルギーネットワーク」担当としての責任の大きさにやりがいを感じています。

多様性に富んだ風通しのいい風土が働きやすさを生む。
時代の変化に対応した新たな製油所への進化に向けて。

ENEOSに転職して実感するのは、新しい知識を吸収できたこと。当たり前と言えば当たり前ですが、技術者としてはそれが刺激的であり、技術者として成長している手応えがあります。また規模の大きな会社というのは、トップダウンの傾向が強いと思っていましたが、水島製油所はそれと異なり、ボトムが頑張る風土が根付いていると感じます。そこには、いろいろな会社が統合・合併してENEOSが生まれた背景があるからだと思います。多様な考えを受け入れる素地があり、それが風通しの良さ、働きやすさも生んでいる。メンバーみんなが、製油所を「もっと良くしたい」という考えを持っており、前職では感じなかった一つの共同体のような印象がありますね。
製油所のプロセスエンジニアリングは、他業界の経験者であっても違和感のない領域です。しかし時代は大きく変わってきています。世界的にカーボンニュートラルが叫ばれる中、製油所も転換期を迎えています。時代の変化に応じた既設の改造や新規設備の検討など、新たな大きなイベントとともにプロセスエンジニアリングも進化していく必要があると思っています。それら変化・進化を楽しみにしつつ、今自分がやるべきことにひたむきに取り組んでいきたいと考えています。