燃料・化学品研究

アスファルト舗装への廃プラスチック利用

廃プラスチックのマテリアルリサイクル

廃プラスチックの国内総排出量は近年、年間約900万トンで推移しています。その80%以上となる約750万トンが何らかの形でリサイクルされていると言われています。これはPETボトル等、一部のリサイクルシステムが一定の効果を示している側面もありますが、廃プラスチックリサイクルの多くは、ごみ焼却に伴う熱を発電などに利用するエネルギー回収としてのサーマルリサイクルが占めているのが現実です。この量は概ね500万トンと、全リサイクル量の実に2/3にのぼります。リサイクルとして一般的にイメージされる使用済み品の再生利用(マテリアルリサイクル)としてのリサイクル量は150万トン程度と、排出量全体に占める割合は20%にも達していません。

プラスチックはその用途に応じて、極めて多くの種類が使用されています。また、それぞれの長所を組み合わせるため複合して使用されることが多く、その場合、元の個別の材料に戻す必要のあるマテリアルリサイクルは現実的ではありません。サーマルリサイクルはこれら多種多様な廃プラスチックに共通する“燃焼により熱を発する”という特性を利用する合理的な方法でもあるものの、CO2排出削減の観点から、今後は燃焼による消費を抑えた再利用が求められます。

私たちは、廃プラスチックが共通して持つ“固体である”または“熱によって融ける”という特性をそのまま活用する道路舗装を開発しています。サーマルからマテリアルへ、いわばリサイクルのアップグレードを実現することで、資源循環の促進に貢献します。

アスファルト舗装

図1 舗装の材料構成

俗にアスファルトと呼ばれることも多い道路の舗装ですが、材料全体に占めるアスファルトの割合は重量比で5%程度しかなく、舗装体の大部分は石や砂及びフィラーと呼ばれる粉状の無機物で構成されています(図1)。この石、砂及びフィラーのことを“骨材”と呼び、アスファルトは骨材がバラバラにならないように繋ぎとめる役割の“バインダー”と呼ばれます。
私たちは、バインダーの改質に廃プラスチックを利用することだけでなく、これまで石や砂などを使用してきた骨材にも廃プラスチックを活用する新しい舗装体の研究を行っています。骨材にも廃プラスチックを用いることで、飛躍的に多くの廃プラスチックの処理が可能となり、リサイクルに大きく貢献できる可能性があります。

廃プラスチックを道路舗装に利用するために

廃プラスチックを骨材として使用する場合には、通常の骨材の場合とは異なるバインダー特性が必要となります。プラスチックの表面は石や砂などとは異なり極めて平滑であるため、骨材同士の摩擦力による変形抵抗性への寄与が期待できません。廃プラスチックを利用する場合には、これらをはじめとする石や砂の骨材が持つ優れた特性を、バインダー側で補完する必要があります。通常のアスファルト(改質II型)をバインダーとして用い、廃プラスチックを骨材とする舗装体の性能を評価したところ、実用に耐えないことが分かりました。このように通常のアスファルトは専ら石や砂を対象に設計されているため、このままでは舗装の骨材に廃プラスチックを使うことはできません。

廃プラスチックの骨材を安定して保持するためには、バインダーの骨材への接着力に加え、バインダー自体が変形に耐える強度を有していることが求められます。この機能を付与するため、私たちはアスファルトに適切な種類および量の廃プラスチック材を配合し、骨材に廃プラスチックを使用した場合でも十分な性能を発揮する新しい廃プラスチック混合アスファルトバインダーの開発を行いました。図2に示す通り、開発バインダーを用いた場合には、骨材に廃プラスチックを使用した場合でも、石や砂を骨材とする現行舗装体と同レベルの性能を発現し得ることを確認しました。現在、実際に歩道の一部にこの舗装体による試験舗装を実施し、実用性能の長期実証試験を行っています(図3)。

廃プラスチックの舗装骨材への活用を可能とする本技術は、プラスチックのリサイクルに大きく貢献するだけでなく、舗装体の重量を大幅に削減することが可能となるため、舗装体を支える路盤材への要求性能の軽減や材料の運搬に掛かるエネルギーの削減にも大きく寄与することが期待されます。また、プラスチックは石や砂に比べ熱容量が小さいため、施工時に必要となる投入熱量の削減や、舗装後のヒートアイランド対策など、多方面で効果を発揮すると考えられています。

図2 各種舗装体の性能
図3 廃プラアスファルト試験舗装