潤滑油研究

自動車用省燃費駆動系潤滑油

自動車用省燃費駆動系潤滑油

地球温暖化問題は現代社会において、重大な課題の一つとなっており、温暖化の要因となる二酸化炭素の排出量を削減することは世界的にも重要な研究テーマとなっています。特に自動車は、二酸化炭素の排出量のなかでも大きな割合を占めるため、自動車のエネルギー効率を向上し、自動車からの二酸化炭素の排出量を削減することが強く求められています。
自動車のエネルギー効率を向上させる技術として、エンジンの高性能化や自動車の軽量化など様々な研究開発が注目されていますが、自動車に充填されるオイルもエネルギー効率の向上に大きく寄与します。また、二酸化炭素の排出量の少ないハイブリッド車や二酸化炭素を排出しない電気自動車などが、今後ますます普及すると予想されていますが、これらのシステムには、それに適した潤滑油が必要となります。これらの背景からそれぞれのシステムに最適かつ省燃費性能にも優れる駆動系潤滑油の必要性がますます高まっています。

省燃費CVTフルード

CVT(Continuously Variable Transmission)は図に示すように、トルクコンバーター、金属ベルト/プーリー(プライマリーとセカンダリーの2組)、コントロールユニット(油圧制御装置)などの機構より構成されます。エンジンからの出力はトルクコンバーターを経て、プライマリープーリーに伝えられ、金属ベルトを介してセカンダリープーリーに伝えられます。CVTの変速比は、油圧制御により2つのプーリーの幅を変化させることで、連続的に制御することができます。CVTフルードはCVT内の潤滑、冷却作用を行うだけでなく、プーリーなどを作動させる油圧の働き、金属ベルトやトルクコンバーター内のクラッチが滑らないように適正な摩擦を保つ働きが必要とされます。

省燃費化テクノロジー

潤滑油の信頼性を確保した上で低粘度化を行うためには、粘度指数を向上させる必要があります。粘度指数とは温度による粘度変化を指標化したものであり、粘度指数が高いほど温度変化に対する粘度の変化度合いが小さいことを示します。粘度指数が高くなることで、高温領域での信頼性に必要な粘性を確保しつつも実用温度域の不要な粘性を低減でき、結果的に変速機内での撹拌ロスを低減できるのです。
当社が開発した世界最高水準の高い粘度指数と低い圧力粘度係数を有した独自の化学合成ベースオイルを配合することにより、低粘度化と高粘度指数化を高いレベルで実現することができます。

1.従来の化学合成ベースオイルと比べ、粘度指数を約15%向上

高速走行等の高温時に必要な粘度を確保しつつ、寒冷始動等の低温時において粘度の上昇を抑え、変速機内部のエネルギーロスを大幅に低減し、出力伝達性能を高めます。

2.一般的なベースオイルと比べ、圧力粘度係数を約10%低減

圧力粘度係数が低いほど、圧力変化による粘度の変化が少なくなり、高い圧力が加わっている変速機内部における粘度上昇を抑え、エネルギーロスを大幅に低減し、出力伝達性能を高めます。

大型車用ギヤ油

駆動系潤滑油では、潤滑油の粘度を低下させることで、撹拌によるエネルギー損失を低減する手法が広く用いられています。一方で、極めて過酷な環境下で使用されるデファレンシャルギヤ用の潤滑油は、粘度を低下させることでギヤの耐久性を低下させるおそれがあります。そのため、当社は潤滑油の粘度を低下させない、これまでとは異なる効率向上の手法の開発に挑戦しました。
一般的なギヤの噛み合い部分では、歯面同士の間に潤滑油が介在、油膜を形成することで摩擦を下げていますが、デファレンシャルギヤでは高い荷重がかかるため、油膜が形成されにくく、摩擦が高くなることでエネルギーの損失が大きくなることに着目し、油膜の保持性を向上させる技術開発を目指しました。種々検討を進めた結果、分子内に電気的な偏りをもつ高粘度ポリマーである「極性ポリマー」が、厳しい潤滑状態においても厚い油膜を形成することを見出しました。

極性ポリマーを適用して開発したデファレンシャルギヤオイル「ギヤグランドDX GL-5 90」は、従来(当社)品と比べて平均4.5%燃費が改善、また、デファレンシャルギヤのAPI(アメリカ石油協会)規格であるGL−5認証試験に合格し、十分な信頼性を有することも確認しました。
これまでにない新しい効率向上の手法を用いて開発された、ギヤグランドGL-5シリーズは、これまでと同様に安心してご使用いただける環境にやさしい潤滑油です。

受賞歴

  • 2016年 超モノづくり部品大賞 環境関連部品賞
  • 2020年 気候変動アクション環境大臣表彰

電気自動車・ハイブリッド車向け潤滑油

今後さらなる普及が見込まれる電気自動車やハイブリッド車は、ギヤや軸受など従来のガソリン車と共通する機構がある一方で、モーターが搭載されることが大きな特徴です。モーターは走行時に温度が高くなる性質をもちますが、安定的な走行を可能にするためには、モーターの温度が上がりすぎないように制御する必要があります。モーターの冷却には空冷式、水冷式などがありますが、潤滑油を直接吹きかける油冷式が、より冷却の効果が高く、主流となっています。そのため、電気自動車・ハイブリッド車向け潤滑油には、従来車と共通する機構の潤滑・保護に加えて、モーターを冷却する機能が必要となります。
モーターの冷却には、吹きかける潤滑油の粘度を低下させることが有効であると知られています。また、電気部品であるモーターに直接触れるため、潤滑油の電気絶縁性が高いことが求められます。当社は、自動車用潤滑油をはじめとした幅広い種類の潤滑油開発を通して蓄積された知見を活用することで、潤滑油に対する新たな必要性能を高いレベルで満足させる独自の潤滑油技術を確立しました。様々な使用環境においてベストなパフォーマンスを発揮することができるよう、それぞれ特長をもったENEOS EV FLUIDシリーズをラインナップしております。

<ENEOS EV FLUIDシリーズ>

1 ENEOS EV FLUID
Gear Protection
減速機ギヤの保護性能強化型フルード
2 ENEOS EV FLUID
HV AT
オートマチックトランスミッションフルード性能を付与した電気自動車・ハイブリッド専用フルード
3 ENEOS EV FLUID
Motor Cool
ギヤ潤滑性とモーター冷却性、電気絶縁性を兼ね備えたバランス型フルード
4 ENEOS EV FLUID
Energy Saving
極限のモーター冷却性と省エネ性を実現したフルード
5 ENEOS EV FLUID
Isolation
電気絶縁性を極限まで向上させたフルード
6 ENEOS EV FLUID
Battery Cool
バッテリー、電装部品の冷却専用クーラント

日々進歩を続ける電気自動車やハイブリット車の駆動システムに対応する独自の潤滑油技術を通して、今後も当社は、革新的な技術および有用な商品・サービスを開発・提供し続けることで、お客様の満足と信頼獲得に努めてまいります。