潤滑油研究

環境にやさしい冷媒に対応した冷凍機油

冷凍機と冷凍機油

冷凍機とは、熱を移動させることにより低温をつくり出す装置で、ルームエアコンや冷蔵庫などが挙げられます。最も広く使用されている冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器から構成されます(図1)。この中を冷媒が循環し、「圧縮 → 凝縮 → 膨張 → 蒸発」の4つの状態変化によって、吸熱と放熱を繰り返します。このサイクルを冷凍サイクルと呼んでいます。
冷凍サイクルに冷媒を循環させる心臓の役割を果たすのが圧縮機であり、圧縮機内部のしゅう動部を潤滑するのが冷凍機油です(図2)。

図1 冷凍サイクル例:ルームエアコン
図2 圧縮機しゅう動部の一例(ロータリー型圧縮機)

冷凍機油は、圧縮機で圧縮された冷媒とともに系外に吐出されます。吐出された冷凍機油は、配管で滞留して詰まらず、かつ圧縮機内の油量を一定以上に保つため、冷凍サイクル内を循環して再び圧縮機に戻る必要があります。冷凍機油が圧縮機に戻るためには、ある程度冷媒に溶け合う性質(冷媒相溶性)が求められます。冷凍機油にとって、冷媒相溶性は潤滑性とともに重要な性能の1つとなります。

R32対応冷凍機油の開発

図3 低温時の油と冷媒の相溶性

冷凍機の種類により、様々な冷媒が使用されます。また、冷媒の種類により使用される冷凍機油も異なります。環境問題の観点から使用される冷媒は変遷しています。ルームエアコン用冷媒として、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)系R22が使用されていましたが、R22はオゾン層を破壊することから、HFC(ハイドロフルオロカーボン)系R410Aへの転換が進みました。しかし、R410AはGWP(地球温暖化係数)が1975、すなわちCO2の1975倍の温室効果があるため、GWPが低く環境にやさしいR32(GWP:675)への切り替えが進んでいます。当社では、このR32に相溶する冷凍機油を開発し、上市しています(図3)。

図4 圧縮機を用いた耐摩耗性評価

また、圧縮機しゅう動部の潤滑性を高めて摩耗を低減し、信頼性を向上させる冷凍機油の研究開発も推進しており、実際の圧縮機を用いた評価法を確立することで、より高い潤滑性を確保し、摩耗を低減できる冷凍機油を開発しました(図4)。
当社は、環境にやさしい冷媒に適応した冷凍機油を開発し、提供することを通じて環境保護に貢献しています。

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