PROJECT 01自動車のサブスクで新たなライフスタイルを提唱
〜カーリースプロジェクト〜

SSは「エネルギー供給事業」から「エネルギーサービス事業(供給+消費)」へ。
いつものSSでクルマを選び、給油やメンテナンスを行い、ライフスタイルが変われば乗り換える。
カーリースはENEOSが描く未来戦略への第一歩になる。

ENEOSは2040年長期ビジョンの実現に向けて、利便性の高いサービスをトータルで提供するENEOSプラットフォームの構築を目指している。全国12,000か所超のSS(サービスステーション)ネットワークを活用したモビリティ&ライフサポートという、これまでにない新しいサービスの形。新規事業デザイン部が推進するカーリースプロジェクトは、その未来に向けた第一弾の取り組みだ。特色は「厳選した人気車種を、カテゴリー均一プライス等のわかりやすい価格で提供」「ライフステージの変化に合わせて乗換可能」「いつものSSで車検やオイル交換ができるメンテナンスパック」など、カーユーザーにとって便利で新しい新車の乗り方をSSで提供する仕組みだ。2020年9月からは関東地区の6つのSSで実証を開始し、2020年4月より全国にサービスを拡大していく予定だ。

PROJECT MEMBER

  • 佐藤 歓SATO KAN
    新規事業デザイン部
    モビリティ2グループ
    法学部出身
    1993年入社
    ※会社名・組織名・所属名・インタビュー内容等は取材当時のもの
  • 森山 康寛MORIYAMA YASUHIRO
    新規事業デザイン部
    モビリティ2グループ
    理工学部卒業
    2002年入社
    ※会社名・組織名・所属名・インタビュー内容等は取材当時のもの
  • 岩田 勇大IWATA YUDAI
    新規事業デザイン部
    モビリティ2グループ
    法学部出身
    2006年入社
    ※会社名・組織名・所属名・インタビュー内容等は取材当時のもの
  • 野﨑 陽地NOZAKI YOJI
    新規事業デザイン部
    モビリティ2グループ
    外国語学部卒業
    2020年入社
    ※会社名・組織名・所属名・インタビュー内容等は取材当時のもの

カーリースプロジェクト発足の経緯と目的を教えてください。

佐藤
2019年に「2040年JXTGグループ長期ビジョン」が発表され、全国12,000か所超のSSを軸に、モビリティ&ライフサポートサービスを展開していこうという基本方針が策定されました。新規デザイン事業部はその実行を担うために設立された事業部です。SSと親和性のある事業として、ENEOSは以前からカーシェアリングやカーリースの事業化を検討していましたが、モビリティサービスの第一弾としてカーリース事業を選択しました。
私たちが他のリース会社と違うのは、SSを軸としたモビリティ&ライフサポートという、大きな戦略のなかにこのサービスを位置付けていることです。
森山
描くイメージはいわゆる「サブスクリプション」に近いですね。ENEOSカーリースの最大の特徴は、契約期間中でも無償で乗り換えられること。そこにこだわりました。カーリースでは5年契約が一般的ですが、ライフスタイルが変われば求める車も変わります。だからお客さまはどんな車をリースするか悩まれます。私たちはそれを解決したいと考えました。悩まないで、今乗りたい車を選んでください。家族が増えたら乗り換えましょうよって。
野﨑
車種を限定したのもひとつの特色ですね。ライフスタイルに合わせて人気上位18車種から選び、乗り換えていただく。どんな車でもリースできますよ、ではない。もちろんマニアックな車種を望まれる方にはどんな車でもご紹介しますが、乗り換えできるパックは私たちが厳選した車種に絞っています。
佐藤
最大のポイントは全国12,000か所超のSSリアルネットワークを活用しているところですね。車を使う人が必ず寄るのがSS。多くのSSは車検、メンテナンスを行っており、カーライフと切っても切り離せない場所です。そこで車をリースできればお客さまにとってこんなわかりやすいものはない。「いつものSSでカーリース」。とてもわかりやすいでしょう。
岩田
しかしそれを各SS、特約店が単独で行うのは難しい。だから私たちがその仕組みを作って展開し、サポートすればいい。それがこのプロジェクトの考え方です。SSはお客さまへの販売に徹することができるように、バックヤードのさまざまな業務をENEOSがサポートするよう、事業を構築しています。

本プロジェクトにおけるそれぞれメンバーの役割は?

佐藤
グループ総括として全体を管理し、円滑にプロジェクトを進めるのが私の役割です。事業プランや進捗状況をとりまとめたり、ボールがこぼれそうな部分を見つけてカバーしたりと、人数がそれほど多いわけではないので何でも屋的な側面が大きいですね。
岩田
私はプロジェクト推進に関わるお金の流れをすべて管理しています。またさまざまなルールづくりや法律対応も私の担当です。たとえば実証実験の手順や書面などをあらかじめ定めたり、お客さまとのリース契約時の重要事項説明など、何が法令上必要かを整理したりする縁の下の役どころです。
森山
私はSSのスタッフの方々をサポートするカーリースセンターの立ち上げと管理、運営を行っています。SSには販売に専念していただき、リース申し込み後はセンターで必要書類等を作成し、車両を調達するという仕組みです。もうひとつは自動車のメンテナンスパックの設計です。これはリース期間中お客さまに安全に車を利用いただけるよう、SSで車検や点検、タイヤやバッテリー交換などのメンテナンスを定額で行うというものです。
野﨑
私は全国で車両を調達するためのカーディーラー網開発と、リース終了後の車両処分のスキームづくりを担当しています。特に、全国に車両を供給するためには、さまざまなメーカーの各地のディーラーから、必要な車両をより安価に調達するためのネットワークを開発していくことが必要です。そうした車両関係に関する交渉、仕組みづくりが私に課されたミッションです。

新規事業プロジェクトを遂行するうえで心がけていたこと、大切にしていたことは?

岩田
正確な状況把握ですね。プロジェクトにはさまざまな人間、部署が関わっています。資金面にしても法令対応にしても、プロジェクトの各担当者が現在何を進め、誰とどんなやりとりをしているのか、全体の流れを把握していないとトラブル発生の原因になります。特にテレワークで緊密にコミュニケーションがとれない状態でしたから、自分から情報を探りに行き、またそれを共有するために発信することを強く意識していました。
野﨑
業務開発の方向性に常に注意しなければいけないという点はまったく同感です。とりわけ新規事業開発は、試行錯誤しながら軌道修正を繰り返すため、チーム内での情報交換が不十分だと後に大きな祖語をきたします。全体を俯瞰しながら自分の業務を深掘りすることが非常に重要と考えています。
森山
この事業開発ではパートナーが多岐にわたるため、情報の共有には私も気を配りました。また事業スキームや運営手順、マーケティング戦略、販売体制、サポートセンターなど、すべてを一から手探りで構築するなかで、お客さま目線とSS目線で考えることを意識しました。お客さまにとって便利、快適なサービスであると同時に、SSにとっても収益と付加価値を得られる事業にすることが大切だと。
佐藤
私自身が工夫したのは社内関係各所への説得、というか説明ですね。我々のカーリース事業は、わかりやすさと利便性を追求している裏側で、業務のフローもお金の流れも複雑でわかりにくい。そんな事業の仕組みや進行状況をさまざまな部署、階層の人に説明するのが私の役目です。このため、リースとはこういうものだ、こういったものを特色とした事業スキームなのだといった説明の切り口をいくつも用意しました。

このプロジェクトで感じたやりがいや得られたものとは?

野﨑
私は以前神奈川地区のカーディーラーに勤めており、その後アウトソーシングサービスの会社に勤めました。そこでENEOSの業務委託を請け負っていたことからこのプロジェクトを知り、中途採用の公募制度を利用して20年4月にプロジェクトに参加することになりました。実はカーディーラーは販売担当地域を超えて活動することはできません。しかしENEOSの看板があれば北海道から沖縄まで、全国で大好きな車に関わる仕事ができる。そのダイナミズムを感じながら業務を遂行できることがいちばんのやりがいであり、喜びですね。
岩田
新規事業は既存事業の枠組みが使えません。ほぼすべてを一から考え、積み上げていきます。その際に重要なのはしっかりとしたストーリーを描くことです。たとえば販売戦略の立案にあたっては、自分たちがどういう売り方をしたいのか、どうすればお客さまに伝わるのか、SSの強みをどうやって伝えるのを考えに考え抜きました。これから実証を経てさらに事業を拡大していくわけですが、契約や規約の詳細をどうするのか、これからの将来を見据えてつくっていきたいと考えています。
佐藤
遠い未来をしっかり見据えている人たちと一緒に仕事をして大きな刺激を受けましたし、見方も広がりました。私自身はもともと石油、特約店ビジネスに長く携わってきて、現状のビジネスをどう効率化するかをつねに考えていました。しかし燃料ビジネスは需要減少傾向のなか、これから厳しい時代に突入します。カーリース事業はそのSSの未来を拓くひとつの切り札になる。そうした意味でSSのサポートになれるのはとても嬉しいことですね。
森山
本プロジェクトを通して感じたのは、自分が築き上げた財産の大きさですね。社内の人脈と外部のネットワーク。新規事業という道なき道を進むにあたって、さまざまな場面でさまざまな人に助けられました。その感謝も含め、20年間に重ねた人脈の強みを改めて感じました。

このプロジェクトの社会的な意義、社会に与える価値とは何か。考えをお聞かせください。

森山
車を利用する多くのお客さまにとって、もっとも身近な存在であるSSで、お客さまのライフスタイルに合った車の新しい選び方をご提案する。それが本事業の社会的な意義です。
野﨑
そうですね。加えるなら、自動車のサブスクリプションという文化の形成に役立てると考えています。また当社の基幹事業である、燃料販売とのミックスアップが十分に期待できるという点で、全国の燃料供給網の新たな生存戦略を成立させた意義も大きいと思います。
岩田
いま新規デザイン事業部ではモビリティ&ライフサポートという枠組みのなかでさまざまな新規事業を考えています。アイデアを絞り、種を蒔き、育てていく。本プロジェクトがそのひとつのモデルケース、見本になれば、大きな意義があると思います。
佐藤
将来を見据えれば、このリース事業を通してENEOSが日本でいちばん車を所有する企業になればいいなと思っています。そうすればSSを通してお客さまにさらに付加価値の高いサービスを提供でき、社会に大きな価値を与えることができると考えています。

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