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重質油処理技術開発について石油学会技術進歩賞を受賞

当社は、公益社団法人石油学会の2021年度技術進歩賞を受賞しました。受賞題目は、「溶剤脱れき、重油脱硫、および重油流動接触分解を組み合わせた重質油処理技術の開発」です。本技術開発について、石油学会「ペトロテック」2022年9月号に紹介記事が掲載されました。
当社は重質油の高付加価値化技術として、溶剤脱れき油(DAO)を重油脱硫装置(RDS)で処理し、流動接触分解装置の原料とするとともに、同時に低硫黄船舶用重油の製造も行うRDSプロセスを確立しました。本技術は、重質な原油を処理しながら安定に運転可能で、さらにボトム分解率を向上させるものであり、製油所の競争力強化に大きく貢献するものです(図1参照)。当社中央技術研究所、製造部、日立事業所および鹿島石油 鹿島製油所が一体となり、触媒開発・製造およびプロセス開発を実現しました。

図1 技術開発後の重質油留分の処理フロー

減圧残渣(VR)からアスファルテンが除去されたDAOをRDSで処理する際、(1)DAOの詳細構造解析と反応性把握、(2)残油流動接触分解装置(RFCC)において触媒被毒となる窒素分を低減できる脱窒素触媒の開発、(3)DAOを常圧残渣(AR)と混合処理した際に生じる、RDS反応器での差圧を予測するシミュレーターの開発、(4)RFCC装置のパフォーマンスが最大となるようなRDS運転管理、等の技術開発により、製油所での安定操業が可能となりました。

本技術開発は、平成28年度の「石油精製高付加価値化等技術開発補助金」および平成29~令和2年度「高効率な石油精製技術に係る研究開発支援事業費補助金」の助成のもとに実施したものです。

参考文献

  • 松下、ペトロテック、45、(9)、573 (2022)