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炭化水素化合物の新たな分析技術が第82回分析化学討論会「展望とトピックス」に選出

当社が第82回分析化学討論会(2022年5月14~15日、茨城大学)で発表した分析技術が、本討論会の「展望とトピックス」に選出されました。発表タイトルは「重質油組成分析のためのイオン付着飛行時間型質量分析計の開発」であり、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同開発の成果です。
本討論会を主催する公益社団法人日本分析化学会は分析化学関係では世界最大級の学会であり、本討論会の発表の中から特に注目される研究が「展望とトピックス」として選出されます。
油中に含まれる炭化水素化合物をパラフィン、ナフテンおよび芳香族などの成分毎に分けて割合を求めるタイプ分析を実施するためには、各成分の分子イオンを検出する必要がありますが、従来の分析装置では分子イオンと同時に分子イオンが壊れて生成するフラグメントイオンも検出されてしまうため、分子イオン検出量から比率を算出する際の誤差となっていました。今回独自に開発したイオン付着飛行時間型質量分析計は、フラグメントイオンを生成させずに分子イオンを検出できるため、炭素数90程度までの長鎖有機化合物の分析、重油等の高沸点試料の分析が可能となりました。
本技術は、重油等の残油流動接触分解装置における反応機構解析への活用が期待されています。

図1 ノルマルパラフィン試薬のマススペクトル