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非貴金属酸素発生触媒の成果がAdvanced Materials誌に掲載

図1 高エントロピー合金触媒

当社と筑波大学らの研究グループによる研究成果が、「Advanced Materials」に掲載されました。掲載論文の題目は、「Corrosion-resistant and high-entropic non-noble-metal electrodes for oxygen evolution in acidic media」で、当社社員4名も共著者として加わりました。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、再生可能エネルギーを用いた水の電気分解(以下、水電解)による水素製造が注目されています。なかでも陽イオン交換膜(PEM)を用いたPEM水電解は、変動の大きい再生可能エネルギー由来の電力でも安定して水素製造を行うことができます。しかし、その過酷な環境下で作動する電極触媒は、高い活性と耐食性が求められることから、イリジウム、ルテニウムや白金などの貴金属に限られ、コストだけでなく、資源埋蔵量の観点でも大きな障壁となっていました。
本研究では、単一種の場合は容易に溶けてしまう非貴金属を多数組み合わせた「高エントロピー合金※1」が、水電解用酸素発生触媒として機能することを見出しました。図1のように、均一に分散した合金が、反応場において、自己選択的に活性な表面状態を形成し、かつ一部不働態化することにより、活性と耐食性の双方を兼ね備えることが明らかとなりました。
Advanced Materialsは、Wiley-VCH社の発行する材料科学に関する雑誌であり、2021年のJournal Citation Reportsにおいて32.086という高いインパクトファクターを獲得しています。

投稿論文

用語解説

  1. ※1高エントロピー合金:複数の元素種を原子として混ざり合わせた合金。単独の元素による金属とは異なる電子状態や性質を表す効果が知られている。