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MOFの賦形化に関する研究成果がACS Applied Materials & Interfacesに掲載(2023年5月)

早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構ナノプロセス研究所の酒井求(さかい もとむ)次席研究員ならびに同大理工学術院先進理工学研究科の松方正彦(まつかた まさひこ)教授、ENEOS株式会社中央技術研究所の松本 隆也(まつもと たかや)首席研究員らは、MOF (Metal-Organic Frameworks、金属有機構造体)※1の賦形化技術への取り組みとして、α-アルミナ モノリスの表面を直接MOFに変換する全く新しい方法を開発することに成功しました。MIL-96※2 と呼ばれるMOFに関して本技術により製作したMOFモノリスはMIL-96粉末と同等のCO2吸着量を示しました。これらの成果は2023年5月1日にアメリカ化学会の学術雑誌ACS Applied Materials & Interfaces誌に論文として掲載されました。
“One-Pot Synthesis Method of MIL-96 Monolith and Its CO2 Adsorption Performance“(DOI:10.1021/acsami.2c22955)

吸着剤、固体触媒、電極触媒など様々な用途で期待されているMOFを工業的に利用するためには、粉末状であるMOFを賦形化する技術が必要になります。しかしながら、従来の固体触媒の成型法(バインダーを用いた成型、加圧打錠成型、支持体へのコーティングなど)では性能の非発現や剥離などの課題がありました。

今回、モノリス表面をワンポットで直接MOFへ変換すること新しい方法を開発しました(図1)。本手法ではモノリス表面を直接MOFへ変換していくため、従来の問題を解決することができます。

図1 モノリス表面のMOFへの直接変換法

当社では、今後も様々な分野でのMOF利用に向けた技術開発を通して、脱炭素・循環型社会の実現や革新的素材の創出に貢献していきます。

  1. ※1MOF (Metal-Organic Frameworks、金属有機構造体)
    金属と有機配位子が相互に繰り返し結合しネットワーク構造をもつ材料。活性炭やゼオライトをはるかに超える高表面積な細孔形成を実現でき、金属の活性サイトを形成/導入も可能なため、ガス吸着、分離、センサーや触媒など幅広い応用が期待されている材料。
  2. ※2MIL-96
    Alとトリメシン酸(1,3,5-benzenetricarboxylic acid)から構成され、湿度や温度に対し安定性の高いMOFで、安価な注目のCO2の吸着材料。

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