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国際学会”Leeds-Lyon Symposium on Tribology”にて2nd Best Poster Awardを受賞 -潤滑油添加剤の耐マイクロピッチング性への影響に関する研究-

当社研究員が、英国リーズで開催された”The 48th Leeds-Lyon Symposium on Tribology” (2023年9月5~7日)において、”Effects of Calcium Detergents on Micro-Pitting Behaviour of Gear Metals”と題し、潤滑油添加剤であるカルシウム系清浄剤が耐マイクロピッチング性へ与える影響に関する研究成果についてポスター発表を行いました。その結果、本発表が”2nd Best Poster Award”に選出され、閉会式にて行われた授賞式にて表彰されました。同賞は、本学会で行われた約60件のポスター発表の中から、研究内容のオリジナリティ、プレゼンテーションの質などの複数の観点から審査され、優れた発表に授与されるものです。

本学会は、潤滑技術に関する最も有名な国際学会の一つであり、他オイルメーカ等も研究内容について発表を行う中で、今回の発表・受賞により当社技術力を世界的にアピールすることができました。

本研究は、近年開発が盛んになっている電気自動車用潤滑油(参考文献参照)に関するものです。電気自動車の航続距離延長のためには、自動車機器内における潤滑油の粘性抵抗の低減が重要となりますが、それに伴いギヤなどの摺動部で油膜が薄くなり、金属部品同士の接触が生じることで、マイクロピッチング(※1)等の損傷に繋がるリスクが増大します。本研究は、カルシウム系清浄剤(※2)が金属表面に形成する化学反応膜が耐マイクロピッチング性を大きく左右することを実験的に示しており、今後の潤滑油処方設計における重要な指針となる知見を得ることができました。

なお、本研究は、ドイツ・ベルリン工科大学およびドイツ連邦材料試験研究所(いずれも当社多田社員が留学中)との共同研究により実施しています。

注釈

  1. ※1マイクロピッチング:周期的な接触応力の繰り返しにより、金属表面に発生する微細な損傷。疲労破壊の一種。
  2. ※2カルシウム系清浄剤:本来潤滑油の清浄性・酸中和性を向上するために添加される添加剤。
写真1:共著者のPopov教授(ベルリン工科大学)と
写真1:共著者のPopov教授(ベルリン工科大学)と
写真2:授賞式の様子
写真2:授賞式の様子

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参考文献