2023年度 日本トライボロジー学会 論文賞を受賞


日本トライボロジー学会の学会誌「トライボロジスト」への投稿論文が、2023年度の論文賞を受賞しました ※1 。受賞論文の題目は、「しゅう動特性に及ぼすHFO冷媒の影響(第1報)―冷媒雰囲気下のしゅう動特性および金属新生面への吸着特性―」 ※2,3 です。本論文は、岩手大学名誉教授である森誠之先生との共著となります(図1)。

エアコンに代表される冷凍空調機器は、室外機と室内機の間を冷媒が循環することにより、室内の温度をコントロールし、快適な環境をつくります。現在、日本をはじめとした先進国のルームエアコンには、HFC冷媒R32(ジフルオロメタン)が広く使用されています。今後、地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP) ※4 の低い、より環境に優しいHFO冷媒(例えば、R1234yf:2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)を含む次世代冷媒の適用拡大が見込まれます。なお、各冷媒のGWPは、R32が675に対して、R1234yfは1未満です。

エアコンの室外機の内部には冷媒圧縮機が設置され、圧縮機のしゅう動部を潤滑するために冷凍機油が封入されており、冷凍機油は冷媒と共に使用されます。よって、冷媒共存下での冷凍機油のトライボロジー ※5 特性を把握することが重要となります。本論文では、R32とR1234yfを使用した摩擦試験によるしゅう動特性の評価だけでなく、森先生が考案された金属新生面への吸着実験や、汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」 ※6 を活用した吸着挙動の解析により、冷媒種の違いによるしゅう動特性を比較・考察しました。また、本論文の英訳版はTribology Online ※7 に、後続の研究内容も第2報 ※8 として、同学会誌に掲載されています。

図1. 論文賞受賞者と共同研究者
図1. 論文賞受賞者と共同研究者
図2.摩擦試験後の摩耗痕径(温度・冷媒圧力の依存性)
図2.摩擦試験後の摩耗痕径(温度・冷媒圧力の依存性)
関連サイト
  1. ※1日本トライボロジー学会 受賞一覧
  2. ※2設楽裕治, 森誠之:しゅう動特性に及ぼすHFO冷媒の影響(第1報), トライボロジスト, 67, 9(2022) 662-671.
  3. ※3ENEOS NEWS & TOPICS トライボロジスト論文掲載(2022年9月)
  4. ※4地球温暖化係数
    二酸化炭素の地球温暖化への影響を基準(1)として、冷媒を含めた温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるかを表した数字です。値が低いほど、地球に優しいことを示します。
  5. ※5トライボロジー
    2つの物体が互いに滑り合うような相対運動を行った場合の相互作用を及ぼし合う接触面、およびそれに関連する実際問題についての科学技術の一分野です。また、摩擦、摩耗、潤滑に関する学問の総称になります。
  6. ※6汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」
  7. ※7Y. Shitara, S. Mori:Effect of HFO Refrigerants on Lubrication Characteristics (Part 1), Tribol. Online, 18, 7(2023) 515-523.
  8. ※8 設楽裕治, 小野寺拓, 森誠之:しゅう動特性に及ぼすHFO冷媒の影響(第2報), トライボロジスト, 68, 4(2023)280-291.