CAREER技術職の
多様なキャリアを語る

ミクロからマクロへ
キャリアを重ねるごとに
広がる視野。

1年目鹿島製油所 製油2グループ配属

私は、製造現場における装置の効率運転にはじまり、装置を含めた設備の全体最適化、製油所全体の油種バランス計画、需給バランスに基づく全社の稼働方針策定へと、ミクロからマクロへ視野を広げるキャリアを積んできました。その起点となったのが、鹿島製油所製油2グループです。私の担当業務は装置の運転指示、生産効率化検討、省エネ検討など。装置の稼働状況や燃費を把握して、一定の品質を維持しながらもっとも効率的に製造する最適運転を提案、指示することがミッションでした。加えて、日々運転に関わっているプロダクションエンジニアと二人三脚で操作面からの改善案件を検討し、チーム一丸となってより良い運転にブラッシュアップしていきました。製油グループの4年間で、私はまず装置の運転におけるキーポイントを見る目を養うことができました。

5年目鹿島製油所 製油技術グループ

製油技術グループでは、生産効率化と省エネを目的に、設備の改造検討に取り組みました。それまではひとつの装置の効率運転を考えていればよかったのですが、ここでは複数の装置にまたがる生産効率化がテーマです。たとえば冬の灯油需要増加に合わせて、ある装置からガソリン中の灯油に近い留分を直接灯油抜き出しラインへ送り出すパイプをつなぐなど、費用対効果を見つつ設備全体での生産効率向上をめざしました。
ここで製油グループ間にまたがる効率化の検討や大型投資案件の検討など、責任感のある仕事を任され、業務を完遂できたことは大きな自信につながりました。また、製油所の競争力を上げるためにグループ員でブレインストーミングを実施しながら、さまざまな課題に取り組んだことは、物事を多角的に見るための重要な基礎になりました。

9年目鹿島製油所 需給管理グループ

需給管理グループでは「どう効率的に生産するか」に加えて「何をどれだけ」という視点が加わりました。それがガソリンブレンド業務です。ガソリンスタンドで一般の方が目にするのはレギュラーとハイオクの2種類ですが、この品質規格内に収まるよう、複数の基材をブレンドします。基材ごとに品質や価格が異なるため、鹿島の場合は週に3・4回のペースで9種類の基材を配合していました。ロスなく安定的に製品供給するために、基材性状を徹底的に覚えたのもこの時です。需給管理グループでは、需給バランスを見据えつつ、どの製品をどれだけ生産するかという石油事業の流れを製油所単位で把握できるようになりました。

11年目需給部 需給管理グループ

現在は、需給管理グループで製油所・製造所の生産計画の策定、および原料油・製品の出荷バランス管理を行っています。自分の担当油種は黒油(C重油)で、船舶燃料油や電力会社向け重油の出荷調整や輸出計画の策定をはじめとして、ガソリン基材を生産するFCC装置等の稼働方針、各原料油の転送計画策定などを主業務としています。どの地域でどれくらいの需要があるのか。どこでどれほどの量をつくり、どこからどこへ融通するのか。その効率化・最適化を検討しています。今までは1つの製油所のバランスだけを見ていましたが、現在は複数の製油所にまたがるより広い視野が求められます。また、重油の輸出入については、海外拠点と定期的に会議を行います。現在世界でどのような油の取引が行われ、輸出入環境がどのように変化しているか、といったこれまで得られなかった情報に触れることができ、視野は世界にまで広がりました。

今後の目標

装置というミクロの視点から全社的なマクロの視野へと、徐々にスケールアップしてきましたが、私の原点はやはり製油所にあります。装置を知っている、現場の息遣いを知っているからこそ、全体を把握する際に細かいところに気づくことができる。机上の理論ではなく、より現実的な生産計画を策定できる。それがこれまでのキャリアで培った私の強みだと思います。
これまで常に成長を実感できる仕事を与えていただいたので、これからは自分から仕事を提案できるようになりたい。自分が中心となって皆のモチベーションが上がるような仕事を提案できれば、自分の仕事を誇れると思うからです。ただ、これまでの延長線上でさらに磨きをかけていきたいと思う反面、今のキャリアをバックボーンに違う分野の仕事もしてみたい気持ちもあります。たとえば石油事業を取り巻く環境が大きく変わっている局面で、これから発展していくであろう水素や新エネルギー関連の仕事に携われれば、さらに視野が広がっていくと思うからです。

新たな業務に挑むたびに
発見があり成長がある。

1年目水島製油所 製油技術グループ配属

学生時代は金属材料の界面に関する研究をしていました。ENEOSの会社見学で根岸製油所を訪問したとき、プラントの規模に圧倒され、また自分の研究と意外と関連があることを知り、設備の保全に興味を持ちました。入社後は水島製油所に配属され、常圧蒸留装置と脱硫装置を担当しました。現場をよく理解するべく、装置の簡易フロー図を持って毎日のように運転グループの計器室やプラントを見て回り、石油精製について一から勉強しました。周囲の理解もあって、担当装置以外でも、定期修理工事の際や予定外に停止した際に設備の中に入槽させてもらいました。今も装置と聞くと当時のことを思い出します。私の原点です。

3年目水島製油所 設備検査グループ

設備検査グループでは、スケジュールを決めて各設備・機器の点検を行うほか、チームを組んで、2年に1度全面的な定期検修を行います。外面腐食点検や定修を通して、限りある予算で大きなプラントを的確に検査する大変さを感じました。
一方、プライベートでは結婚して出産を経験、1年余りの出産休暇・育児休業を取得しました。育休後は環境安全グループに異動し、製油所の安全を維持するための法規徹底やルールづくりを担当しました。入社6年目には第二子出産、2度目の育児休業を利用しました。

8年目水島製油所 購買グループ

購買グループでは主に消耗品の購買を担当しました。消耗品といっても日々の事務業務に使用する文房具から、運転員が使用する工具や無線機、プラント設備で使用する薬品、充填物まで多種多様です。配属当初は、設備とあまり関係のない部署だと思ったのですが、購買の物品を通して設備の勉強にもなり、違う角度から製油所の全体像を見ることができました。お金に直接関わる仕事なので、それまでのグループと違う緊張感があり、英語の請求書を読んで数億円の支払いをしたときに手が震えたのは、今ではいい思い出です。9年目に3度目の出産・育児休業を利用しています。

11年目大分製油所 環境安全グループ

社内結婚した夫とともに大分製油所に転勤、環境安全グループに所属しました。環境安全グループは水島製油所でも経験していましたが、大分製油所では、設備の改造などに伴う届け出や申請関係を担当することになり、消防法など関連法規を改めて一から勉強させていただきました。最初は官庁対応に緊張しましたが、関連官庁との関係性も良好で、周囲からのサポートもしっかりしいただけたので円滑に業務を進めることができました。また、社会人としての対応スキルを本格的に身につけたのもこの頃です。それまでは製油所というフランクな人間関係の中で仕事をしており、他社の人と対面しても自分がお客さまの立場であることが多かったので、本当の基礎しか身につけていなかったのです。これまでとは異なる仕事に携わり、いろいろな意味でとても貴重な経験ができたと思います。

13年目本社 環境安全部

現在は、本社環境安全部で製油所・製造所等の労働災害を防止するための仕事をしています。夫は根岸製油所に勤務しており、その中間点に自宅を構えました。初めての本社勤務ですが、周囲はとても知識の豊富な方たちばかりで、日々刺激を受けています。私が担当しているのは、特に安全啓発のための情報発信です。法規や安全に関する情報などを簡潔にまとめ、定期的に製油所・製造所やグループ会社等に送付しています。現場の人たちが安全について学ぶためのツールとして活用してもらえるよう、さまざまな工夫を重ねています。自分なりの意見や視点を臆することなく発信したいという気持ちを持って業務を行っています。

今後の目標

まだ子どもが小さいので、どうしても家族を優先せざるを得ないこともありますが、自分なりのバランスで納得感を持って働きたいと思っています。子どもと接していると小さなことで悩んでいるなあ、と感じることがありますが、改めて自分を見つめ直すと、小さな問題に悩むのは自分も同じで、子どもも大人も変わらないなと最近は思い始めました。異動すると、業務に関連する知識を新しく勉強しなくてはなりませんが、意外にそれまでの経験と繋がることも多く、どれだけ経験を重ねても、知識面・対人面で自分なりの成長を感じます。仕事に課題や壁はつきものですが、それを乗り越えることで達成感が得られます。これからも仕事を通じて成長し、子どもに素敵だなと思ってもらえる大人になりたいと思います。

さまざまな部門での経験と
培った人脈が財産

1年目根岸製油所 製油グループ配属

最初の配属先、根岸製油所では分解・脱硫装置の運転条件設定を担当しました。運転条件はつねに同じではありません。原油が変われば基材の性状が変化しますし、装置ごとのクセもあります。これらの条件を過去の知見に基づき、運転指針をオペレータに指示することがミッションです。もちろん新入社員では、知識も経験も現場スタッフにはとてもかないません。最初はお客さん扱いされながら、勉強し、教えられながら工場の現場がどのようなものか身をもって体験していきます。運転現場のベテラン運転員に、初めは可愛がられながら、次第に自分の知見を発揮し認められていく経験を通じて、仕事の学び方、人から信頼を得るということについて学びました。

4年目根岸製油所 製油技術グループ

製油技術グループでは、製油所の装置の効率化や設備改造計画、バイオガソリン製造装置の立ち上げなどを担当しました。印象深いのは東日本大震災で製油所が全面停止したことです。通常、定期修理でない限り製油所が停まることはありません。突然の全面停止で配管は固まった原料で閉塞し、、それを順次取り除きながら復旧させていくプロセスを経験したことで、有事の際の対応はもちろん、製油所という巨大な工場を動かすための工程管理の重要性を改めて認識しました。

7年目技術計画部

技術計画部では、全製油所の設備改造案件のとりまとめと予算化、新設分解装置の設計などを担当しました。初めての本社勤務で最初は緊張しましたが、現場を知る者の意見には耳を傾けてくれる風土があり、私もすぐにさまざまな意見を自由に発言するようになりました。案件審議の納得感を増すためにTV会議を導入し、各所から本社の審議に参加する形式を取り入れたのもそのひとつです。審議結果も全て公開し、業務の透明性向上に寄与できました。また、新装置の導入ではフランスのライセンサーと日本のエンジニアリング会社との共同プロジェクトにも参加。世界で活躍する企業のプロジェクト管理を肌で感じるとともに、つたない英語力でも海外でミーティングを行う術を学びました。

11年目本社供給部門(供給計画部、需給部)

供給部門に異動し、最初に取り組んだのがトレーディング拡大検討プロジェクトです。トップレベルのグローバルコンサルタント企業と共同で進めたもので、グローバルエリートと称される人々の仕事の進め方を目の当たりにするとともに、どんな人や組織にも得意なことと不得意なことがあることを学びました。またトレーディングの知識、知見を得るために、1ヵ月半にわたる海外研修にも参加しました。世界各国の石油調達関連会社と面談し、トレーダーという人種について理解を深めました。その後、ナフサの配送管理を担当した時は、当社を支える物流網や船会社との協力の大切さを実感しました。船舶運航は天候に大きく左右され、1日の遅れが大きな経費の増大につながります。毎日の天気をあれほど気にしていた時期はありません。

15年目経営企画部

現在は経営企画部で予算前提の策定と供給部門の経営会議決裁案件のとりまとめ、トレーディングや先物取引に伴うリスク管理方針の策定などを担当しています。予算前提とは、予算策定の前提となる油価や製品価格などを、長期見通しを含め予測する業務です。もちろん、正確に予測することはいかなるトレーダーであっても不可能ですが、アナリストの分析や国際情勢の推移等、さまざまな情報を収集・分析し、可能な限り蓋然性を高めた数値予測を心がけています。

今後の目標

私はこれまでの会社生活15年で6つの組織に属し、直属の上司は13回変わりました。さまざまなタイプの方と出会い、その良いところを少しずつではあるが吸収してきたと思います。人との出会いこそが私のキャリアであり、築き上げた人脈が財産だと考えています。さまざまな部門を渡り歩いてきたため、高い専門性は持ち合わせませんが、経験と顔の広さを生かし、今後は部門間で利害が対立する事象の解決や、恒久的な制度化に貢献したい。生産性が低いといわれる日本の大企業において、それは大変重要な役割であり、浮上のカギだと思います。また、地球環境の維持とエネルギー安定供給に同時に貢献することが当社の使命であることは間違いなく、今後は当社の持つ巨大なインフラと優れた人材を活かした新規事業の立案や実行にも関わっていきたいとも考えています。

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