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このページは、目次の中の第1編の中の第2章の中の第1節 石油精製法の発達史のページです。

石油製品の実用化とともに、石油精製法も進歩をとげた。石油精製の基本となる原油の蒸留技術は、初期には単独釜を用いた回分蒸留で、温度をみながら留出油を順次分離するという原始的な方法であり、熱効率も精留度(分離度)も悪いものであった。その後、米国において1877年に単独釜を連続的に並べて蒸留する方法が発明され、精留度は大幅に改善された。

さらに、1910年にパイプスチル式の連続蒸留装置が米国カリフォルニア州のベロン製油所に建設され、近代的連続蒸留法への道が開かれた。この方法は、加熱炉で加熱した原油を精留塔へ張り込み、油蒸気が精留塔内を上昇する間に精留され、塔頂、側線、塔底から製品が同時に連続的に抜き出されるという画期的なものであった。

自動車の大量生産によるガソリンの需要の増加に対し、最初は重質油を熱分解してガソリンをつくる分解蒸留法が、米国で1913年に開発された。次いで触媒を用いて、高品質で収率の高いガソリンを製造する接触分解法が1930年に工業化され、ガソリンエンジンの発達に対応した。

第一次から第二次世界大戦にかけて航空機用ガソリンの品質向上が要求され、アルキレーション法などが実用化された。

第二次世界大戦後は、触媒を用いて低オクタンガソリンを高オクタンガソリンに変える接触改質法が開発された。この方法はガソリンの品質向上に役立つだけでなく、多量の水素を発生するため、この水素を利用した水素化精製法の発達を促進した。

1950年代後半に米国で開発された触媒を用いた水素化分解法は、水素を供給しながら重質油の接触分解を行う方法で、ガソリンを増産することができる装置である。また、この方法は、反応条件により、灯油、軽油を生産することができる融通性に富んだプロセスである。

一方、大気汚染防止のため重油の低硫黄化が要求され、かつ接触改質法により安価に水素が製造できるようになったため、重油の水素化脱硫法および水素化分解法が発達した。

潤滑油製造についても、1930年代に溶剤精製法、溶剤脱蝋(だつろう)法、溶剤脱瀝(だつれき)法が発達し、1950年代からは水素化精製法も導入された。

このように、石油精製は約100年間に驚異的に発展し、石油化学の分野とともに現代産業の中心的役割を果たしている。



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