ニッケル触媒カップリング反応用の高性能な配位子の開発論文が「Organic Letters」に掲載、Front Coverとして選出されました


ENEOS株式会社は、学校法人福岡大学理学部の松原公紀教授との共同研究により、医薬品製造等に役立てるべく、ニッケル触媒カップリング反応用の高性能な配位子である「TIBホスフィン配位子」を新たに開発しました。本成果はアメリカ化学会(ACS)の学術雑誌「Organic Letters」 ※1 の第27巻第49号に論文として掲載され、かつ掲載誌のFront Coverに選出されました(図1)。

論文情報:https://doi.org/10.1021/acs.orglett.5c04126
掲載日:2025年12月12日(Cover)、2025年11月8日(0n line, 論文)

従来の医薬品や医薬品中間体等を製造する際は、パラジウム触媒とアルキルホスフィン配位子を用いた鈴木―宮浦クロスカップリング反応 ※2 が多用されていますが、(1)パラジウムの有害性や調達コストの高さ、(2)配位子コストの高さ、(3)空気中での配位子の取扱いの難しさ、(4)反応収率の限界といった課題がありました。これらの課題に着目し、「遠隔位に2つのtert-ブチル基を有する1級アルキル基をリン原子に結合させた」ホスフィン配位子が、ニッケル触媒カップリング反応活性を向上させる世界初の触媒設計とする(図2)ことで、比較的安価に製造できるTIB骨格を有したホスフィン配位子の合成・単離に成功しました。このTIBホスフィン配位子は空気中で安定である上、パラジウムより調達が容易なニッケル触媒を用いたカップリング反応にて、反応原料の組み合わせによっては従来より高い収率を達成することができました。この論文成果は本年9月開催の国内外の学会 ※3※4 にて発表すると共に、北興化学工業株式会社にライセンス供与する契約を締結しました。北興化学工業株式会社は、本年9月からTIBホスフィン配位子の少量サンプルの販売を開始しております。
これからも新たな有機系触媒の開発を通じ、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」の両立に貢献してまいります。

図1. Front Cover
図1. Front Cover
図2. TIBホスフィン配位子の触媒設計
図2. TIBホスフィン配位子の触媒設計
  1. ※1学術雑誌「Organic Letters」とは
    About Organic Letters - ACS Publications
  2. ※2鈴木―宮浦クロスカップリング反応
    鈴木・宮浦カップリング - Wikipedia
  3. ※3OMCOS国際学会
    OMCOS XXII 22nd International Symposium on Organometallic Chemistry Directed Toward Organic
  4. ※4有機金属化学討論会
    第71回有機金属化学討論会 | Confit
  1. TIBホスフィン配位子に関するプレスリリース
    https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20250729_01_01_mr03.pdf501KB