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このページは、目次の中の第1編の中の第3章の中の第3節 運輸部門の需要のページです。

  1. 運輸部門需要の概要
  2. 自動車用石油製品
  3. 航空機用石油製品
  4. 船舶用石油製品

1. 運輸部門需要の概要

石油製品は、燃料として単位あたりの発熱量が高く(ガソリンで42~45MJ/kg)、液体であるため、貯蔵・移送等取扱いが容易であるという特徴から、配送ネットワーク・給油インフラが整えやすいこともあり、運輸部門需要における大部分のエネルギーを担っている。

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2. 自動車用石油製品

自動車用の代表的な製品であるガソリンと軽油の合計販売量は、2022年度の燃料油全体の約51%(資源・エネルギー統計年報)を占めており、石油製品の中でも主要な市場を形成している。

自動車ガソリン

自動車ガソリンは、主に乗用車(軽自動車を含む)や軽トラックの燃料として使用されており、プレミアムガソリン(オクタン価96以上)とレギュラーガソリン(オクタン価89以上)の2種類に分けられる。プレミアムガソリンの販売比率は自動車用ガソリンの約9%となっている。

プレミアム、レギュラーともガソリンはそのほとんどが、サービスステーション(以下SSまたは給油所)において販売されているが、危険物であるため、設備面での各種規制はもとより、販売業者には危険物管理・品質管理・計量管理などの資格と技能が要求される。

ディーゼル軽油

軽油は、トラック・バスを中心としたディーゼルエンジン車の燃料として使用される。乗用車でも使用されるが、日本では排出ガス規制によりこれまであまり普及してこなかった。

しかし、ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと比較して、熱効率が高いために走行距離あたりの燃費が良く、その分二酸化炭素(CO2)排出量が少ない。従来、欧州では乗用車の新車販売台数に占めるディーゼル乗用車の比率が高く、2010年以降日本においても、輸入車に加えて、最新の排出ガス規制に適合したクリーンディーゼル乗用車が販売されている。

自動車用潤滑油

自動車用潤滑油は、内燃機関(エンジン)の潤滑・冷却・清浄作用を目的とするエンジン油が大半であり、ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用に大別される。この他にギヤー油、自動変速機油(ATフルード)、無段変速機油(CVTフルード)等がある。

これらの潤滑油は各元売系列のSS、カーディーラー、整備工場、カーショップ、ホームセンター等で販売・交換作業が実施される。

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3. 航空機用石油製品

航空ガソリン

航空ガソリンは、小型プロペラ機や一部のヘリコプターに使用されている。

ジェット燃料

ジェット燃料は、航空タービンエンジンに使用され、100%灯油タイプのJET A-1、JP-5、JP-8と、灯油・ナフサ混合タイプのJP-4がある。民間機にはJET A-1が使用され、軍用機では、保安上、引火点が高い燃料が要求される空母艦載機にはJP-5が、その他の軍用機にはJP-4が使用されているが、欧米ではJP-8に切り替えられている。

なお、日本と外国の間を運航する国際線で使用される燃料については、その生産者および輸入者に対しては石油石炭税および関税注1)(製品輸入の場合)が免除される。一方、国内線向けのジェット燃料には、このほかに航空機燃料税13,000円/kLが課される(2023年4月現在)。

ジェット燃料は、羽田、成田等の大きな国際空港では、燃料貯蔵タンクから空港内の地下パイプライン網を使って各スポット(駐機場)まで通油し、各スポットのピット(給油孔)から、サービサーと呼ばれる給油ホース車を使用して給油する。これをハイドランド・システムという。

一方、地方空港等の比較的に燃料給油の少ない空港では、フューエラーと呼ばれる貯蔵タンク付きの給油車が機体サイドで給油する。

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4. 船舶用石油製品

船舶用燃料

国内外を往来する外国貿易船等の大型ディーゼル機関を使用する船舶では主にC重油が、漁船等の小型ディーゼル機関を使用する船舶ではA重油または軽油が使用される。大型船舶のディーゼル機関に使用される燃料は、機関の型式および種類により最適粘度が異なるため、国際的にも粘度数値による分類によって販売がなされている。品質規格は、国際的にはISO8217(舶用燃料規格)が使われている。なお、IMO(国際海事機関)による船舶用燃料中の硫黄分含有率の規制が強化されたため、欧州や米国沿岸など特に規制が厳しい海域(ECA地域と呼称。2015年1月以降、硫黄分0.1%以下を義務付け)では、大型船舶であっても軽油を使用するようになっている。さらに2020年1月から、IMOの海洋汚染防止条約により、上記のECA地域を除く世界の殆どの地域で、硫黄分上限がこれまでの3.5%から0.5%に規制強化された。そのため、排気ガス洗浄装置を搭載しない船舶の燃料油は、高硫黄C重油から硫黄分0.5%以下の低硫黄C重油や軽油・A重油へシフトしている。また、一部の船舶ではLNG等を燃料に使用する動きも出ている。

なお、日本と諸外国を往来する外航船舶が使用する重油は保税重油と呼ばれ、その大部分が日本の領域外で消費されるため、関税と石油石炭税が免除されている。また、北洋さけ・ます、およびカニ船団等についても、水産業助成の目的から保税重油の使用が認められている。これら以外の日本領域内を航行する船舶は、国内の一般産業向け重油と同様に課税重油を使用している。

船舶への燃料供給は、一般的にはバージと呼ばれる小型タンカー(通常300~2,000kL型)を使用するが、製油所や石油基地のような港湾では、着桟した船舶に地上タンクからパイプラインで燃料供給を直接行う場合もある。

また、外航船舶に対しては、世界の主要港のほとんどで燃料補給の体制が整備されている。このため、外航船舶は港ごとの市場価格を比較して燃料供給地およびサプライヤーの選択ができるため、船舶用燃料の販売は常に国際的な競争下におかれている。

船舶用潤滑油・グリース

船舶用潤滑油やグリースは、船舶のエンジン、発電機などの機関の潤滑に使用される。船舶の大型化に伴い、高馬力の機関に対応した新しい品質の研究開発が求められている。

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[注]
注1)原油および石油製品の輸入に当たり石油石炭税が課税される。2023年4月現在、2,800円/kL。石油製品の輸入には別途関税が課される。原油に対する関税は2006年4月以降廃止されている。


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