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このページは、目次の中の第2編の中の第2章の中の第4節 機械油のページです。

  1. タービン油
  2. 工業用ギヤー油
  3. 油圧作動油
  4. 圧縮機油(コンプレッサー油)
  5. 冷凍機油
  6. 工作機械用潤滑油
  7. 軸受油

1. タービン油

タービン油は、火力発電、原子力発電や水力発電などに使用されるタービンの軸受をはじめ、ターボブロワー等の高速回転機器の軸受などに主に使用されている。また、軸受以外では低圧の油圧機械用の作動油、圧縮機や減速機の潤滑油等として、多目的に使用されている潤滑油である。

タービン油は、日本工業規格(JIS K 2213:1983)では添加剤の有無により2種類に分類されている。

(1)無添加タービン油(JIS K 2213 1種)

溶剤精製等により高度に精製された基油を用い、添加剤を全く含まないものを指し、粘度分類によりさらに3グレード(ISO VG32, 46, 68)に分けられる。無添加タービン油は、水力発電機軸受や制御系統の作動油、潤滑条件の緩やかな各種設備機械の潤滑用や、設備機械のフラッシング用に使用される場合が多い。

(2)添加タービン油(JIS K 2213 2種)

高度精製基油に酸化防止剤、さび止め剤や消泡剤等の添加剤を配合したタービン油で、1種と同様、粘度分類により3グレードに分けられる。主に発電機用のタービン軸受や、一般設備機械の循環給油用として使用される。また、JISの添加タービン油の2種規格に対応する国際規格としてISO-8068:2006とASTM D 4304-13がある。

<火力、原子力発電機用タービン油>

発電機用途で使用されるタービン油は、長期間の反復使用に供されるため、酸化安定性や熱安定性に優れることを求められる。酸化防止剤としてフェノール系のものが主に使用されており、その酸化防止性能とともに、長期間使用した後もスラッジ化しないことや、経時による変色が少ないことが大きな特長となっている。近年、基油として水素化分解により精製度を向上させた鉱油を使用する比率が高まっており、タービン油の酸化安定性を向上させている。

また、水分が混入した際の機器の防食を目的として、カルボン酸誘導体が通常、さび止め剤として使用されている。その他の特徴としては、油中泡の早期放散性を重視し、消泡剤として非シリコーン系の添加剤が使用される場合もある。

酸化安定性、熱安定性に優れることから、主機タービンの軸受以外にも補機類の潤滑油として広く使用され、一般産業機械の循環給油等で使用される比率も高い。

<ガスタービン油>

ガスタービン油の規格としては、米国のゼネラルエレクトリック社の規格が広く知られているが、これは酸化防止剤の揮発性に関しても規定しているため、前出のフェノール系酸化防止剤では規格に合格できない。このため、ガスタービン油にはアミン系の酸化防止剤が使用されている場合が多い。アミン系酸化防止剤は、高温下での揮発性や酸化防止性能に優れるが、一方でフェノール系酸化防止剤と比較し着色しやすいことや、変質物の油溶性が低いことから管理方法に注意が必要となる。

<その他>

事業用発電機以外に、自家用発電機や非常用発電機として、中・小型のガスタービンが使用されている。これらは、航空機に使用されていたガスタービンを産業目的に転用している場合が多く、タービンやコンプレッサーの軸受以外に減速機も共通で潤滑している。航空機転用型のタービンはさらに熱負荷が高く、鉱油系タービン油では絶対的に耐熱性や酸化安定性が不足するため、エステル系合成油が推薦されている場合が多い(MIL-L-23699規格合格品)。

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2. 工業用ギヤー油

工業用設備機械のギヤー(歯車)装置は、密閉型と開放型に分類される。ギヤーは接触面の圧力が高く、滑りと転がりの両方を伴うため、ギヤー油には様々な潤滑性能が要求される。例えば、圧延機のギヤーでは大きな衝撃荷重がかかり、ウォームギヤーでは大きな滑りを伴う。これらのギヤーの潤滑面では、潤滑油の粘性による油膜形成が十分に行われず、一部ギヤー材料の金属接触を伴うような厳しい潤滑状態になりやすい。このようなギヤーの歯面の摩耗防止や摩擦低減、さらに高い衝撃荷重から歯面を保護するため、ギヤー油には極圧剤あるいは油性剤が添加されている。

ギヤー油には、硫黄・りん系(S-P系)極圧剤が主に使用されているが、省エネルギーに対する要求の高まりから、有機金属化合物や固体潤滑剤などの摩擦低減剤(Friction Modifier)を添加した省エネルギータイプのギヤー油が、広範囲に使用されている。また、高温用途や非常に高い衝撃荷重の発生する用途では、一部合成油タイプのギヤー油が使用されている。

(1)工業用ギヤー油のタイプ別分類

工業用ギヤー油の代表的なタイプ別分類として表 2-2-4-1に示すようなANSI/AGMA(American National Standards Institute / American Gear Manufacturers Association)の分類がある。この分類では4種類に分類されている。

R&Oタイプギヤー油は、さび止め剤(Rust Inhibitor)と酸化防止剤(Oxidation Inhibitor)を添加したもので、多目的油として販売されている。EPタイプギヤー油は、S-P系などの極圧剤を添加したもので最も多く販売されている。そのほかにコンパウンドタイプや合成油タイプのギヤー油が特殊な使用条件下で利用される。

表 2-2-4-1 工業用ギヤー油のANSI/AGMAタイプ別分類
タイプ 概要
R&O
  • 鉱油にさび止め剤、酸化防止剤を添加したもの
EP
  • R&Oタイプ油に極圧剤を添加したもの(極圧剤はS-P系)
コンパウンド
  • 鉱油に3~10%の脂肪油あるいは合成脂肪酸を添加したもの 一般的にはウォームギヤー用
合成油
  • ポリオールエステル、ポリグリコール、および合成炭化水素系油などが使用される
  • 特殊条件下で使用

(2)工業用ギヤー油の粘度分類

工業用ギヤー油の粘度分類は、ANSI/AGMAの分類が一般的に利用されている。表 2-2-4-2にISO粘度分類とANSI/AGMA粘度分類の関係を示す。

表 2-2-4-2 ISO粘度分類とANSI/AGMA粘度分類の関係
動粘度mm2/s (40℃) ISO粘度グレード ANSI/AGMA 番号
R&Oタイプ EPタイプ 合成タイプ
28.8~35.2 32 0 0S
41.4~50.6 46 1 1S
61.2~74.8 68 2 2EP 2S
90.0~110 100 3 3EP 3S
135~165 150 4 4EP 4S
198~242 220 5 5EP 5S
288~352 320 6 6EP 6S
414~506 460 7,7Comp 7EP 7S
612~748 680 8,8Comp 8EP 8S
900~1100 1000 8A,8AComp 8AEP
1350~1650 1500 9 9EP 9S
2880~3520 10 10EP 10S
4140~5060 11 11EP 11S
6120~7480 12 12EP 12S
190~220mm2/s @100℃ 13 13EP 13S

我が国では、JIS K 2219:1993で工業用1種(比較的軽荷重の一般機械用密閉型ギヤー用)と工業用2種(中・重荷重の一般機械、圧延機などの密閉型ギヤー用)に分類されている。

(3)適油の選定

ギヤー油の選び方については、AGMAの方法など各種の選定基準が経験的に示されている。しかし、ギヤーの種類、材質、工作精度等と負荷、回転数、給油方法、給油量、温度などの使用条件が絡み合い、これらがギヤー油の実用上の効果に大きく影響するため、普遍的な選定基準は確立されていない。このため、最近ではEHL(Elastohydrodynamic Lubrication)理論で粘度選定をすることもあるが、適油の選定は、使用条件を十分考慮し、いくつかの選定基準と同類機種の実績などを参考にして行われる。

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3. 油圧作動油

油圧装置は、パワーショベル、フォークリフト、工作機械、製鉄機械、航空機等の、力の伝達のために広く利用されているほか、電子工学と組み合わせ、工業用ロボットの制御用にも使用されている。油圧は、パスカルの原理を応用したもので、圧力源として、ギヤーポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプ等が使われ、圧力の伝達媒体として油圧作動油が使用される。ポンプで加圧された作動油は、各種のバルブで、圧力、方向、流量などを制御され、必要なだけの仕事が油圧シリンダなどに伝わる。

従って、油圧作動油の性能を考えるとき、圧力・エネルギーの伝達性能・潤滑性能、化学安定性、安全性などを考慮する必要がある。そのため、適度な粘性、耐摩耗性、熱・酸化安定性、さび止め性、シール材との適合性、場合によっては耐火性が必要である。我が国には油圧作動油のJIS規格がなく、世界的にはISO6743-4:1999規格の中に作動油が分類されている。(表 2-2-4-3) この中の油圧作動油は、鉱油系油圧作動油(ISO 11158:2009)を含む一般用油圧作動油、生分解性油圧作動油(ISO15380:2011)、難燃性油圧作動油(ISO12922:2012)の3種類に分けられる。

(1)鉱油系油圧作動油(ISO 11158:2009)

ISO11158:2009では、HH、HL、HM、HV、HGの5種類の鉱油系油圧作動油規格を定めており、大部分の油圧装置で使用されている。

<無添加鉱油系油圧作動油>

無添加タービン油やマシン油などがこれに相当し、圧力や温度などの使用条件が緩やかで、漏れの多い設備に使われる。

<R&O型油圧作動油>

添加タービン油が、これに該当する代表的な油圧作動油である。しかし、現在このタイプで「油圧専用油」として市販されているものは、低温流動性や若干の耐摩耗性を向上させたものが多い。

<耐摩耗性油圧作動油>

R&O型油圧作動油に摩耗防止剤を添加し、特に高圧ベーンポンプ(13.7MPa以上)に対する耐摩耗性および焼付き防止性能を強化したもの。耐摩耗性能の評価方法として最も一般的なものは規定の条件で油圧ポンプを運転し、運転後のポンプ部品の摩耗を測定する方法である。代表的試験方法として、ASTM D 2882があり、Vickers社のV104C型ベーンポンプを用い、13.7MPaで100時間運転後のベーンとカムリングの摩耗量を測定している。一般的には、この摩耗量が100mg以下のものを耐摩耗性油圧作動油としている。

(2)生分解性油圧作動油(ISO 15380:2011)

森林などで作業する建設機械などから作動油が漏れた場合、バクテリアなどによって自然に分解される性能を求められた油圧作動油。最近特に地球環境に対する配慮から注目されている。生分解性能は、ISO14593:1999もしくはISO9439:1999の試験で評価され、28日間後の生分解率が60%以上を示した場合に生分解性油として認められる。

(3)難燃性油圧作動油(ISO 12922:2012)

鉱油系油圧作動油は、本来可燃性であるため、各種火源がある環境で稼働する油圧装置では、引火、火災の危険がある。防災のため、鉄鋼設備やダイカストマシンの油圧装置には、難燃性油圧作動油が多く使われる。また、市街地に位置する工場や鉱山の油圧装置では、火災が起こった時の被害を最小限にとどめるため、難燃性油圧作動油に切り替える傾向にある。

<ケミカルソリューション型油圧作動油>

水、グリコールおよび水溶性ポリマーを主成分とし、各種添加剤が添加されたもの。鉱油系耐摩耗型に近い耐摩耗性を有するとともに、保守管理が容易なため、難燃性油圧作動油の主流を占めている。

<W/Oエマルション型油圧作動油>

オイル中に水を分散させたW/Oエマルションに摩耗防止剤、酸化防止剤、さび止め剤などを添加したもの。難燃性油圧作動油の中で最も安価であるが、鉱油系油圧専用油に比較し耐摩耗性、さび止め性、保守管理面で難点がある。

<リン酸エステル系油圧作動油>

分子量の異なるトリアリルフォスフェートの混合物であり、市販品は、添加剤が添加されていないリン酸エステルが主流を占めている。耐火性、潤滑性が優れているが、入手性、価格に難点がある。

<その他合成系油圧作動油>

脂肪酸エステル系油圧作動油は、脂肪酸とポリオールより合成された化合物を主成分とし、基材自身が耐熱性、潤滑性に優れている。また、生分解性を有するため、環境保護の観点から近年一段と注目されている。

表 2-2-4-3 ISO6743-4:1999に基づく作動油分類
分類 組成/特性 ISO記号 特徴、用途
一般用
油圧作動油
無添加鉱物油 HH 使用条件がマイルドな油圧機器
HHに酸化防止性能と防錆性を付与 HL R&O型油圧作動油
HLに耐摩耗性を付与 HM 耐摩耗性油圧作動油
HLの粘度指数を向上 HR R&O型油圧作動油 
(VI 130以上)
HMの粘度指数を向上 HV 耐摩耗性油圧作動油
(VI 130以上)
耐火性のない合成油 HS 特殊用途
HMにスティックスリップ防止性を付与 HG 油圧、しゅう動面潤滑振動、
スティックスリップ防止
生分解性
油圧作動油
トリグリセリド(植物系) HETG 一般油圧システム
各分類の基油は70%以上
ポリグリコール HEPG
合成エステル HEES
ポリαオレフィン HEPR
難燃性
油圧作動油
O/Wエマルション HFAE 水80%以上
ケミカルソリューション HFAS 水80%以上
W/Oエマルション HFB  
水溶性ポリマー HFC 水35%以上、HEで定義された生分解性、
生態毒性要求も満たす
リン酸エステル HFDR HEで定義された生分解性、
生態毒性要求も満たす
その他合成油 HFDU

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4. 圧縮機油(コンプレッサー油)

圧縮機は作動原理によりターボ形(回転式)と容積形(往復動式)に分類される。

圧縮機油は、圧縮機の型式(種類)、圧縮ガスの種類、使用条件によって異なってくる。

(1)往復動式圧縮機油

往復動式圧縮機における潤滑油の役割は、シリンダ、ピストン、各軸受等の摺動部の摩耗防止および冷却、ピストンとシリンダライナ間の密封、さび止めなどである。

中型機の一部および小型機の場合は、シリンダ内とクランクケースは通常共通に潤滑する場合が多く、中大型の場合は、シリンダ内の潤滑(内部潤滑)とクランクケース内の潤滑(外部潤滑)を別々に行う。

(2)回転式圧縮機油

回転式圧縮機には、ロータリースクリュー式とロータリーベーン式がある。回転式圧縮機用潤滑油の役割は、冷却作用、密封作用、潤滑作用などがある。

回転式空気圧縮機油は、汎用の工業潤滑油の中では最も厳しい酸化条件下におかれているため、優れた酸化安定性が実用上きわめて重要である。

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5. 冷凍機油

冷凍機油は冷凍機の心臓部にあたるコンプレッサーの潤滑油であり、機能的には圧縮機油と同じであるが、圧縮される冷媒が状態変化し、また、冷凍サイクルへの影響を考慮する必要があるため、特殊な性能が必要とされる。1987年のモントリオール議定書以降、地球環境の問題から、冷媒として広く利用されてきた塩素系冷媒に使用規制がかけられ、日本ではCFC(R12等、カーエアコン、冷蔵庫用)が1995年末で全廃となり、HCFC(R22等、エアコン用)も2020年の全廃が決定している。

これらに代わり採用されたのがHFCと呼ばれる非塩素系冷媒であり、塩素を含まないことにより環境への影響は軽減されたが、一方で従来の冷凍機油との適合性が劣るため、HFC用に新しい冷凍機油が必要となった。これは、HFCが従来の鉱物油と溶けあわず、また従来冷媒自身が有した塩素による潤滑効果を補う格段に優れた耐摩耗性が、必要となったためである。

(1)カーエアコン用(冷媒:R134a)

冷凍機油にはR134aの冷媒相溶性に優れたPAG(ポリアルキレングリコール)油が採用された。PAGはR134aと良く溶け合い、粘度指数が高いことから、滑り、転がり潤滑の多いカーエアコン用に適する。

(2)冷蔵庫用(冷媒: R134a、R600a)

コンプレッサーがモーターを内蔵する密閉型であるため、冷凍機油には、加えて電気絶縁性が求められた。R134a冷媒では有機材料との適合性や、極圧潤滑特性等からポリオールエステル(POE)油が広く使用されている。冷蔵庫の多くは往復動式コンプレッサーを搭載しているが、一部のロータリー型では、POE油によって耐久信頼性を確保することが難しく、冷媒非相溶タイプのアルキルベンゼン(AB)油が採用された。冷凍機油が冷媒と溶けあうことは従来の常識であったが、冷凍システムの最適化やAB油の低粘度化等により課題を克服し、除湿機や自動販売機用でも適用され始めた。

一方でR600a冷媒は可燃性があるものの、地球温暖化防止の観点から1990年代から欧州で使用されはじめ、現在では、日本でもノンフロン冷蔵庫として広く普及するようになった。R600a冷媒は鉱油と相溶するため、低流動点のパラフィン鉱油やナフテン鉱油が使用されている。

(3)エアコン用(冷媒:R407C、R410A)

コンプレッサーは密閉型であり、冷凍機油には、主としてPOE油が使用されているが、AB油、エーテル油なども使用される。HFC用の冷凍機油は、各目的、用途に応じ使い分けがされている。

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6. 工作機械用潤滑油

工作機械には軸受、歯車、油圧装置、滑り案内面など、潤滑油を必要とする様々な部位が存在する。これらは、いずれも工作機械の加工精度を支配する重要な個所であり、それぞれ潤滑油の果たす役割も大きい。しかし、1台の工作機械に対し必要となる油種も多いため、日常の油種管理を容易にするため汎用油を使用する場合と、それぞれの性能に特化した専用油を使い分ける場合がある。

(1)汎用油

汎用油は、工作機械における油種統合を目的に考案された潤滑油である。工作機械ではギヤー、油圧装置などそれぞれの部位の過酷度が低いため、必ずしもそれぞれの専用油を必要としない場合が多い。このため、専用油には若干及ばないまでも、汎用油での油種統合が可能となる。

(2)専用油(滑り案内面油)

滑り案内面は、工具や工作物を載せたテーブルの運動を一定に制御する役割を持つ。滑り案内面の潤滑条件は、工作機械の種類や加工条件、加工対象が様々であるため複雑で、使用する潤滑油の性能により工作物の加工精度が直接影響を受ける。したがって、滑り案内油には、特に耐スティックスリップ特性や案内面浮き上がり防止性能が求められる。

近年特に注目されるのが水溶性切削油との相性である。加工現場で、火災防止の観点から水溶性切削油の使用比率が上昇し、切削油剤中への潤滑油混入が加工不良や切削油剤の腐敗といったトラブルを誘発している。このため、滑り案内面油に水溶性切削油との分離性が求められることとなった。一方で、さらなる加工精度、加工能率向上の観点から、工作機械に転がり軸受が使用される比率が増え続けており、このような場合には、潤滑油にスティックスリップの防止性や浮上り抑制といった性能は、必要なくなりつつある。

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7. 軸受油

軸受用の潤滑油にとって、最も基本となる性質は粘性である。粘性は動粘度で示され、スピンドル油クラスの低粘度油から、圧延機の軸受等に用いられるブライトストック級の高粘度油にわたる。しかし、条件的に粘性油膜が維持しにくいなど、粘度のみによる潤滑性では不十分な場合、油性剤、極圧剤を添加し、各性能を向上させた潤滑油が必要となる。軸受油のJIS K 2239:1993規格では、ISOの粘度分類によって15種類(VG2~VG460)に分類され、銅板腐食性、さび止め性などの品質が規定されている。

(1)工作機械用軸受油

工作機械には、主に低粘度油が使用される。工作機械の主軸用軸受の機能は、加工物および工具をより高速にかつ高精度に回転運動させることである。

工作機械の主軸用軸受油の種類としては灯・軽油クラスの低粘度のものからタービン油クラスまで、品質はR&Oタイプの潤滑油が主体である。

(2)圧延機、抄紙機用ロール軸受油

圧延機、抄紙機用のロール軸受には、主に高粘度の軸受油が用いられる。鉄鋼の圧延では大量の冷却水や水溶性圧延油が、抄紙機械では白水等が大量に用いられるため、潤滑油系統に水が混入することが多い。従って、水が混入しても乳化せず、速やかに分離する性能が重視される。

また、寿命および酸化安定性の低下に伴う水分離性の低下、スラッジ分の発生を防ぐために、酸化安定性の良いことが必要となる。



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