1. 種類
アスファルトには、天然に産するアスファルトと石油精製工程を経て製造される石油アスファルトの2種類があり、さらに石油アスファルトは、以下の分類、定義がなされている。
- ストレートアスファルト
減圧蒸留装置の残油及びその残油を溶剤抽出し沈殿分離した成分(溶剤脱瀝アスファルト)を混合して組成調整したもの - ブローンアスファルト
減圧残油を200~300℃に加熱して空気を吹き込み、酸化、脱水素、縮重合等により性質を変化させたもの
我が国では、石油アスファルトの大半がストレートアスファルトであり、ブローンアスファルトは数%程度である。
2. 性質
ストレートアスファルトは伸度が大きく、軟化点が低く、粘着性が強い。
一方、ブローンアスファルトは針入度(硬さを示す尺度)が低く、感温性(温度の変化による硬さの変化)が小さく、また衝撃に対する抵抗力が強い。
両アスファルトは、ともに防水性、化学安定性に優れ、電気絶縁性が大きい。
3. 用途
ストレートアスファルト
(1)一般用
道路舗装用としては、主として針入度60~80が用いられるが、通常のアスファルトでは機能が十分に発揮できない箇所や、耐久性が求められる箇所に使用することを目的として、ストレートアスファルトに高分子ポリマーを添加した改質アスファルトが開発され使用されている。最近、最も注目を集めているアスファルトとして、改質アスファルトをさらに高性能化した排水性舗装用アスファルトがあり、今後の道路整備に大きな役割を果たすものと期待されている。
その他各種舗装用としては、空港、港湾、鉄道、スポーツ施設、水利構造物等があり、舗装用以外の用途としては、ルーフィング、アスファルト塗料、電気絶縁材等がある。
(2)工業用
酢酸ビニル、酢酸エステル類等の化学工業用原料として重要な位置を占めている酢酸は、アスファルトを出発原料として製造(アスファルトから一酸化炭素を製造するガス化プロセス)されており、アスファルトはC1化学の原料としても一部使用されている。また、高温で熱分解重合して製造する石油コークスの原料としても、使用されている。
(3)燃焼用
製造業が主な需要家であり、ボイラー燃料としてC重油代替目的で使用されている。
ブローンアスファルト
ブローンアスファルトは軟化点が高く、感温性、耐熱性に優れ、また価格の面で他の高分子合成材より安価なことから、比較的厚い膜を必要とするルーフィングや建材、塗料などに用いられる。主な用途は、ルーフィングおよび建材等の防水関係、鋼管塗覆装、道路用目地材、その他ターポリン紙、ゴム用、電気絶縁用等となっている。