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このページは、目次の中の第2編の中の第3章の中の第4節 石油ワックスのページです。

  1. 種類
  2. 性質
  3. 用途
  4. 石油ワックスの安全性

1. 種類

ワックスは一般に石油系ワックス、天然ワックス、合成ワックスに分類される。石油ワックスは、原油中に存在する常温において固体または半固体の炭化水素であり、減圧蒸留留出油から分離精製したパラフィンワックスと、減圧蒸留の残査油または重質留出油から分離精製したマイクロワックスがある。

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2. 性質

パラフィンワックスの主成分は、炭素数18~30ぐらいの直鎖状パラフィン系炭化水素である。固化する時の温度条件により板状、針状ならびに無定形の結晶を形成する。よく精製されたものは一般に白色で、防水性、防湿性、保香性に富み、また燃焼性、生分解性がある。通常市販品は融点(華氏温度)で区別され、JIS K 2235では120パラフィン(48.9℃以上51.7℃未満)から155パラフィン(68.3℃以上71.0未満)まで8種類が規定されている。

また、マイクロワックスは、炭素数36~70の高融点ワックスで、成分は長い側鎖をもった環状炭化水素を多く含んでいる。白色あるいは淡黄色でパラフィンワックスよりも融点、軟化点および溶融粘度が高く、しなやかで柔軟性に富む。

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3. 用途

蝋そく

蝋そくのワックスは、我が国では黄ハゼの実からとった木蝋が、主成分として用いられてきた。明治時代にパラフィンワックスが輸入され、これを主成分とする洋蝋そくが生まれ、安価な燃焼性のよい蝋そくとして需要をもった。蝋そくの原料ワックスとしては、適当な融点をもち、蝋そくの炎の熱により溶解状態で木綿の芯によく吸い上げられ、燃焼して光沢が強く、不快臭を発せず、粘着、たわみ、収縮、ひび割れを起こさず、保存性の良いことが要求される。

紙製品加工用

紙製品には薄紙、段ボール、厚紙や紙を素材とする積層品からなる各種の製品がある。ワックス加工の主な目的は、紙の弱点である耐水性、耐湿性、保香性、さび止め性、耐油脂性を改善し、同時に紙の機械的強度を向上させることにある。

電気絶縁材料

一般にワックスは、電気絶縁性が優れているため保護被覆としたり、浸透させたりして、広く電気工業方面に使用されている。特にマイクロワックスは、耐湿性、電気特性に優れているため、電線、ケーブル、コンデンサー、乾電池などに使用されている。

ゴム工業用

タイヤなどのゴム製品は、空気中で光とオゾンの作用を受けて老化し、亀裂を生じる。この老化を防ぐために、ゴムにワックスを混合するとワックスがゴムの表面にブルーミングして被膜をつくり、ゴムの酸化を防止する。

その他

マッチ、クレヨン原料、繊維工業、皮革、つや出し、食品模型、製陶、化粧品等多くの用途に使用されている。

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4. 石油ワックスの安全性

日本ワックス工業会が、食品包装用ワックスの自主規制基準を1976年5月に設け、合格品はワックス包装容器(段ボール箱、紙袋等)に合格マークをつけている。

自主規制基準合格品は、次の試験に合格している。

  1. 食品衛生法に基づく厚生省昭和57年告示第20号準拠(重金属、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量)
  2. 米国食品医薬局(FDA)紫外吸光度試験(FDA172.886)


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