本牧インサイト

燃料ガスからタイヤ原料への転換に向けた取り組み
-ブタンの脱水素化によるブタジエン製造技術の開発-

ブタジエンを原料とする合成ゴム;スチレン・ブタジエンゴム等は自動車用タイヤに用いられており、世界的な自動車需要の伸びに伴い、今後も需要増加が見込まれます。現在、ブタジエンは主にエチレン製造装置から副産されていますが、中長期的なブタジエン需要増に対応するために、新たな製造技術を開発する必要があります。当社では、製油所や石化工場において燃料として使用しているブタンを主とする安価な留分に着目し、これを脱水素することでブタジエンを得る製造技術を開発してまいりました。本研究成果は、2020年2月28日発行の社内報「JXTG Technical Review 第62巻 第1号」にも掲載しています。

ブタンを脱水素してブタジエンを製造する場合、ブタン1分子から2分子の水素を引き抜くため、熱力学的平衡上、高温、低圧の反応条件が好ましくなります。ただし、高温で脱水素反応を行う際、生成したブタジエンは重合しやすいため、触媒上にコークとして堆積してしまい短時間で触媒活性が低下します。この対応策として、定期的にコークを燃焼除去する工程(触媒再生工程)が必要となります。当社では、2つの反応器の交互再生を前提とし、1サイクルあたり24時間以上連続運転可能なプロセス開発を目標とした検討を行い、このプロセスにおいてブタジエン収率が20%以上得られる高活性な脱水素触媒を開発しました。

開発した脱水素触媒は、アルミナベースの担体に、白金(Pt)とスズ(Sn)を担持したものです。脱水素反応の活性点は触媒に担持された白金とスズの粒子であるため、触媒上に高分散させることができれば、触媒活性の向上、すなわち、ブタジエン収率の向上を期待できます。そこで、触媒調製法を改良し、白金とスズの粒子を触媒内部まで均一に担持させることで、高分散させることが可能となりました。開発した脱水素触媒が現行触媒(活性点が外表面に偏在)よりも高活性であることを確認し、かつコーク生成による触媒劣化を抑制することができ、目標であるブタジエン収率20%を達成しました。

図:ブタジエン収率の推移(現行と改良触媒の比較)

参考文献

  • 眞弓、岩佐、木村、一條、瀬川、木戸口、吉原、吉村、柳川、第48回石油・石油化学討論会予稿集(2018)
  • 岩佐、木村、JXTG Technical Review 第62巻 第1号(2020)