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Journal of the Japan Petroleum Instituteにバイオブタジエン製造に関する論文が掲載(2020年3月)

ブタジエン(1,3-ブタジエン)は、さまざまな合成ゴム、特に自動車用タイヤ原料として欠くことのできない重要な基礎化学品であり、その需要は年々増加すると予測されています。現在、ほとんどのブタジエンは石油化学の技術を用いて、すなわちナフサのスチームクラッキングによるエチレン製造時の連産品として生産されています。
近年各タイヤメーカーは材料のサステナブル化を進めており、バイオ由来の原料(エタノール)から製造されるブタジエン;バイオブタジエンに注目しています。当社は石油系原料であるブタンやブテンからブタジエンを目的製造する研究をこれまで行ってきましたが、それら技術を基にして、バイオブタジエン製造技術の開発にも挑戦しています。
このたび、当社独自の4段階連続プロセスによるバイオブタジエン製造法の研究開発成果がJournal of the Japan Petroleum Institute(公益(社)石油学会発行)に掲載されました。

図1 バイオブタジエン製造のための4段連続プロセス
図2 触媒再生による効果

バイオブタジエン製造のための4段連続プロセスを図1に示します。この4段反応のうち、4段目における触媒活性低下がこれまで問題となっていました。触媒表面を重点的に解析した結果、原因は反応中に生成した水が触媒に吸着して反応場を覆っていることと推定しました。これを解消する手段として、図2に示す通り触媒を加熱処理して再生することが有効であることを確認し、あわせて触媒の改良指針を得ることができました。
なお、本研究は、東京工業大学岡本昌樹准教授(現 慶應義塾大学教授)のご指導およびご協力のもと実施しました。

参考文献

  • 1段目反応
    Acetaldehyde Production from Ethanol by Eco-Friendly Non-Chromium Catalysts Consisting of Copper and Calcium Silicate
    Segawa, A., Nakashima, A., Nojima, R., Yoshida, N., Okamoto, M., Ind. Eng. Chem. Res., 57, 11852 (2018).
    https://pubs.acs.org/toc/iecred/57/35
  • 3段目反応
    Meerwein-Ponndorf-Verley Reduction of Crotonaldehyde over Supported Zirconium Oxide Catalysts Using Batch and Tubular Flow Reactors
    Segawa, A., Taniya, K., Ichihashi, Y., Nishiyama, S., Yoshida, N., Okamoto, M., Ind. Eng. Chem. Res., 57, 70 (2018).
    https://pubs.acs.org/toc/iecred/57/1