研究成果が世界的に権威のある論文誌「Nature Communications」に掲載
当社と株式会社Preferred Networks(PFN)による研究成果が、世界的に権威のあるハイインパクトジャーナル「Nature Communications」に掲載され、同誌編集部が特に注目する論文を厳選した「Editor’s Highlights」の AI and Machine Learning(AI と機械学習)部門およびMaterials Science and Chemistry(材料科学と化学)部門に選出されました。これにより、当社技術の優位性が対外的に認められ、国内外の企業・大学から注目を集めることになります。掲載論文の題目は、「Towards Universal Neural Network Potential for Material Discovery Applicable to Arbitrary Combination of 45 Elements」です。論文には当社研究所員9名が共著者として関わっています。
新規材料の探索は、高度な知識をもった専門家による実験・検証が必要です。そのため、計算機シミュレーションを使って材料の特性を評価し、計算結果をもとに探索を行う計算材料探索が盛んに研究されてきました。しかし、膨大な計算コストが課題であり、スーパーコンピュータを使って数か月かかっていました。
本研究では、人工知能(AI)を計算材料科学に活用し、従来不可能であった計算機による幅広い材料の探索を実現しました。第一原理計算によるシミュレーションの結果をグラフニューラルネットワークが学習することで、AIがシミュレーション結果を予測できるようになり、数ヶ月の計算が1秒でできるようになりました。材料研究で培った知見とAIの組み合わせにより、材料探索における実験・検証の負荷を低減するとともに、計算機を使って未知の材料を発見できるようになります。
特に、独自のAI技術を用いることで、幅広い元素種(論文執筆時45元素)を高精度に計算できるようになりました。分子や固体の材料特性から表面化学反応まで、他の類似技術にはない高い汎用性と、飛躍的な高速化の両立に成功しました。論文では、リチウムイオン電池材料(LiFeSO4F)、有機-金属複合材料(MOF)、合金(Cu-Au合金の構造相転移)、触媒(Fischer-Tropsch触媒の材料探索)など様々な分野に応用した事例を紹介しています。
なお本研究成果は、PFN社と当社の合弁会社がサービスとして提供するシミュレータMatlantisのコア技術として利用されています。



キーワード
- 人工知能 Artificial Intelligence
- グラフニューラルネットワーク Graph Neural Network
- マテリアルズインフォマティクス Materials Informatics
- 第一原理計算 First Principles Calculations
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参考