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汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」を活用した3つの研究成果についてトライボロジー会議2022秋で発表
全国のトライボロジー研究者が一堂に会する「トライボロジー会議2022秋」(2022年11月9日~11日、福井県福井市、フェニックス・プラザ)において、汎用原子レベルシミュレータMatlantis™を活用した3件の研究成果を発表しました。その内2件は当社研究員、1件は共同研究先である兵庫県立大学鷲津研究室の大学院生による発表です。いずれも、Matlantis™が得意とする「高精度」「汎用性」「高速」を活かし、化学反応やそのダイナミクスを解明した研究成果です。
- (1)発表番号A23「金属加工油の性能に対する基油組成の影響」当社研究員
基油組成が金属加工の性能に与える影響について、実験とシミュレーションの両面から検討しました。Matlantis™による分子動力学シミュレーションを行い(図1)、基油中油性剤の吸着速度から、これまで経験的に知られていた性能に相違が生じるメカニズムを明らかにしました。 - (2)発表番号B28「添加剤の吸着特性から見た樹脂材の摩擦~新しいAIシミュレータによる解析~」当社研究員
樹脂同士のしゅう動における潤滑油添加剤の摩擦低減効果について、実験とシミュレーションの両面から検討しました。摩擦係数の実測値と、Matlantis™による添加剤の吸着エネルギーの計算結果を整理し、相関関係を見出しました(図2)。 - (3)発表番号F40「Neural Network Potentialを用いた極圧添加剤の表面吸着の分子動力学解析」兵庫県立大学/堀尾・鷲津、当社研究員
Matlantis™を用いて、極圧添加剤として有名なジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)の吸着・反応ダイナミクスを検討しました(図3)。鉄の新生面と酸化面におけるZnDTPの反応メカニズムの相違を明らかにするとともに、表面との電子授受の観点から考察しました。本発表は、ZnDTPを扱う実験研究者からも高い評価を得ました。
当社では、今後もMI技術の深化や、実験・シミュレーションの垣根を越えた連携を通して、潤滑油をはじめ各種分野における革新的素材の創出に寄与し、持続可能な世界の実現に貢献していきます。
参考文献・webサイト等