水素サプライチェーン構築事業
当社のビジョン
当社は、長期ビジョンにおいて「『エネルギー・素材の安定供給』と『カーボンニュートラル社会の実現』との両立に向け挑戦」を掲げており、本格的な水素の大量消費社会を見据えてCO2フリー水素サプライチェーンの構築に注力しています。
水素キャリア
常温常圧で気体の水素は、特に輸送において工夫が必要です。水素の輸送方法については、水素をトルエンと結合させることで効率的な輸送を可能にするメチルシクロヘキサン(MCH)方式、水素を液化して輸送する液化水素方式、アンモニアを利用したアンモニア方式が挙げられます。当社は、それぞれの特性や供給コスト、さらに製油所等の自社アセットとの親和性を踏まえ、いずれも選択肢として広く捉えながら、今後、実用化に向けた検討を加速していきます。
- ※当社の水素キャリア製造技術研究についてはこちら
海外での水素・キャリア製造
当社は、再エネ資源などの未利用資源が豊富な海外において、コスト競争力の高いCO2フリー水素(グリーン水素・ブルー水素)を製造、日本へ輸送し、国内において製油所近隣の発電所や製鉄所へ水素供給を行うことを目指しています。現在、豪州や東南アジア、中東において複数のプロジェクトに参画しながら検証を進めています。
中でもMCHは、常温常圧で液体であり、ガソリンに近い性質を持つことから、MCHの輸送・受入れ・脱水素においてタンカーや製油所の貯蔵タンク、脱水素装置など当社が持つ既存設備を最大限活用でき、新規投資を抑制しながら新たなエネルギー供給体制を築くことができるという利点があります。
プレスリリース
日米水素サプライチェーン構築へ向けた資本参画について ~メキシコ湾岸におけるクリーン水素製造~
SEDCエナジー、住友商事株式会社との水素事業における共同開発契約の締結について
アラブ首長国連邦と日本間のクリーン水素サプライチェーン構築に向けた共同事業化検討契約を締結
クイーンズランド州におけるオリジン社との日豪間CO2水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始
南オーストラリア州におけるネオエン社との日豪間CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた協業検討を開始
サウジアラムコとのCO2フリー水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業検討に関する覚書締結について
SEDCエネルギー株式会社、住友商事株式会社との水素事業における協業検討に関する覚書の締結について
国内での水素の受入・供給
将来、海外から大量のCO2フリー水素を日本に持ち込む際、港・桟橋・タンク等のアセットと、大規模な需要地が近接している必要があります。
当社の製油所は、現在でも石油製品の脱硫用途に大量の水素を利用しているため、もともと水素を取り廻す装置や配管などのインフラが所内に整っており、既存設備が活用可能です。さらに、製油所でガソリンの製造に使っている脱水素機能を持つ装置はMCHから水素を取り出すことができるという点が強みです。
また、製油所の周辺には火力発電所や製鉄所など、潜在的な水素の大規模需要家が隣接していることから、将来的に製油所がCO2フリー水素を安定供給するプラットフォームになる可能性についても検討しています。
プレスリリース
エア・リキードとENEOSによる低炭素な水素の開発促進とエネルギートランジションの実現に向けた協業開始
水島コンビナートにおけるCO2フリー水素の利活用に関する共同検討の開始について
(参考資料)大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国内初となる国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討の開始について
大阪港湾部におけるグリーン水素を活用した国内初となる国産e-メタンの大規模製造に関する共同検討の開始について
水素の品質規格体系の構築に向けた研究開発を開始~「大規模水素サプライチェーンの構築に係る水素品質に関する研究開発」がNEDO委託事業に採択されました~
官民6者連携による羽田空港及び周辺地域における水素利用の調査を行います! ~NEDO事業によるCO2フリー水素利活用モデル調査~
当社製油所において有機ハイドライド(MCH)から水素を取り出す実証を開始します!
CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた調査事業の実施について~東京湾岸エリア~
国内の再生可能エネルギーによる水素製造・供給
国内でも九州、東北、北海道などのエリアでは、豊富な再エネ資源が存在します。そのような地域では、再エネ資源を生かしながら、水素を組み合わせた地産地消型エネルギー供給事業を検証しています。その際、VPP(ヴァーチャルパワープラント)技術と、水素ステーション等に設置した水電解装置を融合させた「水素版VPP」が弊社の独自性を発揮できる基本モデルになる可能性があります。
従来のVPPシステムの中に、VPPリソースとして水電解装置を加えることで、電力エネルギーをよりダイナミックに調整することができ、より多くの不安定な再エネ電源が電力系統に接続できるようになるため、国内の再生可能エネルギー導入を促進することに貢献できます。
今後、様々な地域で、再エネ電力による水電解型の水素ステーションを導入することなどを通じて、段階的に装置の規模を拡大しながら、より大規模な調整力を提供可能な地産地消型のエネルギー供給モデルの展開を図っていきます。
プレスリリース
北海道で国内最大規模となるグリーン水素サプライチェーン構築に向けた検討を開始
CO2フリー水素ステーションからパイプラインで街に水素を供給する実証事業が始動 ~「裾野市CO2フリー水素ステーションを活用したパイプライン水素供給システムの開発」~ <NEDO事業採択>
「北海道大規模グリーン水素サプライチェーン構築調査事業」がNEDO事業で採択~国内最大規模の国産グリーン水素サプライチェーン構築に向けて~
清水製油所跡地(清水油槽所内遊休地)を中心とする次世代型エネルギー供給プラットフォームの構築について
鉄道の脱炭素化に向けたCO2フリー水素利用拡大に関する連携協定の締結について ~国内初、水素ハイブリッド電車の社会実装に向けた共同検討~
国内初となる水素ステーション内で製造したCO2フリー水素の商用販売開始について
CO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた調査事業の実施について~むつ小川原エリア~
ENEOSとトヨタ、Woven Cityにおける水素エネルギー利活用の具体的な検討を開始
政府の支援
当社は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業など国からの支援も活用しながら、CO2フリー水素サプライチェーン構築をさらに加速させ、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献していきます。